1986 Fiscal Year Annual Research Report
吸着脂肪族ケトン・アルデヒドの光化学反応における固体表面の効果
Project/Area Number |
61223022
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
安保 正一 阪府大, 工学部, 助手 (70094498)
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Keywords | 光化学反応 / 固体表面の光化学 / 吸着分子の光化学 / 吸着脂肪族ケトン / アセトンの励起状態 / 励起三重項の寿命 / 表面水酸基との水素結合 / 吸着ケトンのリン光スペクトル |
Research Abstract |
本研究においては、吸着媒として光り透過性に優れ大きな表面積を有する多孔性バイコールガラス(PVG)を選びその上に吸着した脂肪族ケトンのアセトン,2-ペンタノンなどの発光スペクトルとそれに及ぼす添加酸素や一酸化窒素などの影響のダイナミックスを検討し、吸着したケトン分子の励起状態に関する知見を得ることを目的とした。 吸着したアセトンの【(n、π)^*】吸収バンドを励起すると430nm付近にピークを持つ発光スペクトルが観測されることが分かった。この発光は酸素や一酸化窒素などの三重項消光剤の添加で容易に消光され、発光は励起三重項からのリン光であると帰属された。吸着アセトンのリン光スペクトルは無極性溶媒中でのリン光と比較すると、著しくブルーシフトしていることが分かった。この結果は、吸着アセトンの【(n、π)^*】遷移が表面水酸基との水素結合でブルーシフトする事実と良い一致を示した。吸着アセトンのリン光の減衰曲線は二成分で解析でき、それぞれ【τ_1】=6.7μsec.と【τ_2】=1.1μsec.の寿命を有することが分かった。二成分になる理由は、吸着サイトとしての表面水酸基にSi-OHとB-OH基が存在することによる。これらの寿命は水中におけるアセトンの寿命に比べかなり短いことが明らかになった。吸着媒の表面OH基とアセトン間の水素結合の強さが【H_2】Oにおけるそれよりも大きいこと、また、表面OH基とアセトン-【d_6】間において光励起下でH-D交換が進行することなどを考慮すると、表面OH基との水素結合が吸着アセトンの励起三重項の寿命を決定する上に重要な因子になっていることが明らかになった。その他の脂肪族ケトンとしての2-ペンタノンや2-ブタノンに付いても有用な知見が得られた。
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[Publications] 安保正一: 速報誌、日本化学会.
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[Publications] 安保正一: 速報誌、近畿化学会. 2. 61-65 (1987)
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[Publications] 安保正一: 速報誌、近畿化学会. 2. 65-69 (1987)
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[Publications] 安保正一: 物理化学専門誌、アメリカ化学会.
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[Publications] 安保正一: 物理化学専門誌、アメリカ化学会.
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[Publications] 安保正一: 物理化学専門誌、イギリス化学会.
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[Publications] 安保正一: 触媒専門誌、アメリカ. 97. 272-276 (1986)
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[Publications] 安保正一: 物理化学専門誌、アメリカ化学会. 90. 1633-1636 (1986)
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[Publications] 安保正一: 物理化学専門誌、アメリカ化学会.
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[Publications] 安保正一: 日本化学会誌. 59. 259-264 (1986)
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[Publications] 安保正一: "担持金属酸化物上の光誘起と光触媒反応-酸化物の励起状態と反応中間体-国際総説雑誌、" エルセビア、アムステルダム,
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[Publications] 安保正一: "塩基固体物質における進歩" エルセビア、セクオイア,
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[Publications] 安保正一: "光触媒" 朝倉書店,