1986 Fiscal Year Annual Research Report
有機マグネシウム,亜鉛化合物の特性を生かした導電性新素材の合成と機能
Project/Area Number |
61225008
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 隆一 東京工大, 資源化学研究所, 助教授 (10016743)
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Keywords | 有機マグネシウム化合物 / 有機亜鉛化合物 / 導電性高分子 / リチウム-ヨウ素一次電池 / 亜鉛-ヨウ素二次電池 / 硫化亜鉛 |
Research Abstract |
1.チオフェン,ピロール,ベンゼン及びそれらの誘導体のジハロゲン化物とマグネシウムまたは亜鉛との反応から有機マグネシウム,有機亜鉛化合物を調製し、ニッケル及びパラジウム錯体を用いて縮合重合することによりポリ(2,5-チエニレン),ポリ(3-メチル-2,5-チエニレン),ポリ(Nメチルピロリレン),ポリ(P-フエニレン)等のπ-共役系高分子を合成することができた。上記の高分子化合物はヨウ素等の各種ドーパントを添加すると、付加体を形成し電気伝導度が飛躍的に向上することを見出した。ポリ(2,5-チエニレン),ポリ(3-メチル-2,5-チエニレン)とヨウ素の付加体ではポリマーからヨウ素への電子移動がおこり、それによって生じた正孔が電気伝導に関与していることをメスバウアースペクトル等から明らかにした。 2.ポリ(2,5-チエニレン)とヨウ素の付加体は高い電気伝導度をもち、空気中でも安定であることから、これを正極としたリチウム-ヨウ素一次電池を作製した。上記の電池は500kΩ定抵抗放電試験において良好な特性を示し、特にヨウ素の利用率が高いこと、単位重量あたりのエネルギー密度が大きいこと等の特長を有する。またポリ(2,5-チエニレン),ポリ(3-メチル-2,5-チエニレン),ポリ(N-メチル-ピロリレン)とヨウ素の付加体を正極として用いた亜鉛-ヨウ素二次電池についても検討をおこない良好な結果を得た。 3.2,2′-ビピリジン,ピリジン,1,10-フェナンスロリン等のアミン存在下でのジエチル亜鉛と硫化水素の反応によりアミンを配位子としてその構造中にとりこんだ亜鉛硫化物を合成することができた。この化合物の電気伝導度はアミン配位子の含有率に強く依存しており、配位子による金属硫化物の電子状態の変化が物性に影響を与えたものと考えられる。また硫化亜鉛の新規合成法としてチオラト化合物の熱分解反応が有用であることも見出した。
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[Publications] M.Hishinuma: Inorganica Chimica Acta. (1987)
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[Publications] K.Osakada: Journal of the Chemical Society Chemical Communications. 442-443 (1986)
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[Publications] K.Osakada: Chemistry Letters. 597-600 (1986)
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[Publications] K.Osakada: Journal of the Chemical Society Chemical Communications. 1589-1591 (1986)
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[Publications] T.Yamamoto: Journal of Material Science Letters. 5. 132-134 (1986)
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[Publications] 小坂田耕太郎: 日本化学会誌. 402-405 (1986)
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[Publications] 山本隆一: 54. 306-310 (1986)