1986 Fiscal Year Annual Research Report
有機ケイ素を用いる新合成反応の開発と有用物質合成への応用研究
Project/Area Number |
61225009
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
磯部 稔 名大, 農学部, 助教授 (00023466)
|
Keywords | 有機ケイ素 / ヘテロ共役付加反応 / C-グリコシル化 / 塩化白金酸触媒ヒドロシリル化 / 光学活性 / 鎖状立体制御 |
Research Abstract |
『生理活性物質の合成や有機化学的手法による生物現象の分子論的解析』を目指し生体系と生理活性物質との相互作用を求める上ではより精密に生体内の分子機構を解析する必要が有る。このためケイ素などの特性を活用した有機金属を用いる新反応の開発と高度な立体化学制御を研究した。具体的には従来進めてきたケイ素を用いる求電子性ヘテロオレフィン(ヘテロ共役付加反応)による鎖状立体制御を中心とする天然有機化合物合成研究の領域を集大成し、更に発展させるための基礎的論理的な基礎の確立と、それらを構造の極めて複雑な化合物の化学合成への限界に応用した。 1.ケイ素の特性を活用した糖質へのC-グリコシル化 糖質の1位にカチオンを発生させ、炭素求核剤シリルアセチレンを働かせると、良好な収率でC-グリコシル化できることがわかった。例えば、トリメチルシリルアセチレンをトリ-O-アセチル-D-グルカールとルイス酸存在下に反応させるとα-体のみが立体選択的に生成した。 2.ヒドロシリル化によるヘテロ共役付加反応剤ヘテロオレフィンの新合成法 鎖状立体選択的炭素炭素結合形成反応ヘテロ共役付加反応の求電子反応剤合成に塩化白金酸触媒によるスルフィニルアセチレンへのヒドロシリル化にによる方法を開発した。これを応用して光学活性系に用いることのできる極めて効率的な合成が可能となった。 3.海産ポリエーテルオカダ酸の化学合成 分子量804,不斉炭素原子17個,オレフィン3個をもち、C-35の連続する炭素主鎖を骨格とする海産天然物で、この化学合成を立体選択的な方法で完成した。特に、鎖状での立体制御法には、ケイ素を用いる新合成法で、Syn,anti-の選択性を任意に合成でき、炭素炭素結合形成も容易な新しい合成方法論を開発してこれを完成した。
|
-
[Publications] M.Isobe;Y.Ichikawa;Y.Funabashi;S.Mio;T.Goto: Tetrahedron. 42. 2863-2872 (1986)
-
[Publications] M.Isobe;Y.Ichikawa;T.Goto: Tetrahedron Letters. 27. 963-966 (1986)
-
[Publications] M.Isobe;N.Fukami;T.Nishikawa;T.Goto: Heterocycles. 25. 521-532 (1987)
-
[Publications] M.Isobe: Mycotoxins and Phycotoxins. 251-263 (1986)
-
[Publications] 磯部稔,市川善康: 有機合成化学協会誌. 44. 1155-1168 (1986)
-
[Publications] M.Isobe: Perspectives in the Organic Chemistry of Sulfur. 209-229 (1987)