1986 Fiscal Year Annual Research Report
低原子価ルテニウム錯体の選択的触媒機能に関する研究
Project/Area Number |
61225012
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡部 良久 京大, 工学部, 教授 (70025956)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光藤 武明 京都大学, 工学部, 助手 (90026344)
|
Keywords | ルテニウム錯体 / 触媒 / インドール / 共二量化反応 / エノールエステル / アセチレン |
Research Abstract |
1.芳香族アミンと1,2-グリコール類とを触媒量のRu【Cl_2】【(PPh_3)_3】存在下180℃で5時間反応させるとインドール類が収率良く生成することを見出した。例えば、N-メチルアニリンと2,3-ジヒドロキシグタンとの反応によりN-メチル-2,3-ジメチルインドールが58%の単離収率で得られた。本反応はルテニウム錯体触媒によるアルコールの酸化反応を還化反応とを組合せることにより新しい複素環生成に発展させたものである。2.オルトニトロベンゼンより容易に得られる2-アミノフェネチルアルコールはRu【Cl_2】【(PPh_3)_3】触媒存在下容易に反応して無置換インドールを極めて高収率で生成することを見出した。本反応は飼料添加物の前駆物質として大量の需要があるインドールを、工業副生成物として容易に安価に得られるオルトニトロベンゼンより容易に合成する新規なルートを開拓したものである。3.(シクロオクタジエン)(シクロオクタトリエン)ルテニウム-3級ホスフィン系触媒はアセチレンと1,3-ブタジエン類との直鎖共二量化反応に高活性を示すことを見出した。本反応はアセチレンと1,3-ジエンとの共二量化反応の最初の例であり、低原子価ルテニウム錯体に極めて特徴的であり、新しい炭素-炭素結合生成反応として、テルペン類の合成等にも広く応用できる新反応である。例えば1-ヘキシンと1,3-ブタジエンとの反応により80℃4時間という温和な条件下で3-デセン-5-インが94%の収率で得られた。D化アセチレンを用いた反応における生成物中のDの分布を検討し、零価ルテニウム錯体へのアセチレンの酸化的付加反応により生成するアルキニル-Ru結合へのジエンの挿入反応を経る機構を提出した。4.ビス(シクロオクタジエニル)ルテニウムを触媒とするカルボン酸のアセチレンへの付加反応によるエノールエステルの新しい合成法を確立した。配位アセチレンへのカルボン酸の求核攻撃を経る反応機構を提出した。
|
-
[Publications] Take-aki Mitsudo: Bull.Chem.Soc.Jpn.59. 3201-3206 (1986)
-
[Publications] Take-aki Mitsudo: Tetrahedron Lett.,. 27. 2125-2126 (1986)
-
[Publications] Yasushi Tsuji: Tetrahedron Lett.,. 27. 377-380 (1986)
-
[Publications] Yasushi Tsuji: J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,. 1575-1576 (1986)
-
[Publications] Yasushi Tsuji: J.Organometal.Chem.,. 309. 333-344 (1986)
-
[Publications] Yoji Hori: Tetrahedron Letters. 27. 5389-5392 (1986)
-
[Publications] Yasushi Tsuji: J.Org.Chem.,. 52. (1987)
-
[Publications] Take-aki Mitsudo: J.Organometal.Chem.,. (1987)
-
[Publications] Take-aki Mitsudo: J.Organometal.Chem.,. (1987)