1986 Fiscal Year Annual Research Report
典型元素カルベノイドの親電子性を利用する新規合成反応の開発
Project/Area Number |
61225014
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥 彬 京工繊大, 工芸学部, 教授 (50027885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 俊郎 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (30135628)
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Keywords | カルベノイド / 立体反転 / ハイドライド引き抜き / 亜鉛アート錯体 |
Research Abstract |
我々は、これまでに各種のカルベン,カルベノイドがアルコキシドの位C-H結合へ位置選択的に挿入することを見いだし、本反応を利用する炭素骨格合成法を研究してきたが、その結果からリチウムカルベノイドが反応基質からハイドライドを引き抜く強力な能力を持っているという、カルベノイドの親電子的反応性を裏づける重要な実験的証拠を得た。本研究ではこの知見に基づき、典型元素カルベノイドの親電子的反応性の基礎的な理解をはかると同時に、炭素求核試薬との反応を利用する炭素一炭素結合形成反応の開発を検討した。 1.アルキリデンメチレンカルベノイドによるハイドライド引き抜き反応の立体化学ハイドライド引き抜き反応におけるカルベノイド炭素上の立体化学について知見を得る目的から(2,3-ベンゾシクロヘキセニリデン)メチレンカルベノイドのC-H挿入反応のE,Z立体選択性を調べ、ハイドライド引き抜きが立体反転を伴って進行することを明らかにした。 2.亜鉛カルベノイドの発生と反応1.1-ジブロモアルケンからアルキルリチウムによるBr/Li交換反応で発生した1-ブロモアルケニルリチウムは非常に不安定であり、低温でも容易にアルキンへと転位することが知られている。我々は、ブロモアルケンとトリアルキル亜鉛アート錯体との反応を検討し、(【i】)Br/Zn交換反応が迅速に進行すること、(【ii】)発生した1-ブロモアルケニル亜鉛アート錯体が低温で安定であり、(【iii】)温度上昇に伴って対応するブチル化生成物に転位することを見いだした。
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Research Products
(2 results)