1986 Fiscal Year Annual Research Report
生物圏における窒素サイクルの化学的シミュレーション
Project/Area Number |
61226007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 敏夫 阪大, 工学部, 教授 (90028952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 晃二 大阪大学, 工学部, 助手 (00029274)
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Keywords | 鉄-イオウクラスター / 四鉄フェレドキシン / 酸化還元電位 / モリブデン-鉄コファクターモデル / 窒素固定モデル反応 / クラスター修飾電極 |
Research Abstract |
本研究は自然界における窒素サイクル(スキーム1)を司っている微生物の機能を人工酵素によりシミュレーションすることを目的として、本年度は以下の成果を得た。 1)四鉄フェレドキシンモデル化合物としての合成鉄-イオウクラスター【[Fe-4S-4(SC-6H-4-P-n-C-8H-(17))-4]^(2-)】の水溶性ナイロン(ポリ-α-ジメルアミノ-ε-カプラミド)水溶液中における酸化還元電位の測定を行うことにより、このクラスターの酸化型のみならず還元型の場合も溶液中においてプロトン化/非プロトン化平衡が存在することを明らかにした。さらに、還元型【Fe_4】【S_4】クラスターは電子キャリアのみならずプロトンキャリアとして機能することをジクロロメタン液膜セルを用いて明らかにした。 2)一連の鉄-イオウおよびFe-セレンクラスター【[Fe4X4(Y-n-C-12H-(25))-4]`(2-)】(X,Y=SS;SSe;SeS;SeSe)を合成し、Triton X-100ミセル水溶液中、種々のPHにおける酸化還元電位を測定することにより、【Fe_4】【X_4】(X=S,Se)骨格内のX原子上でプロトン化が起こることを明らかにした。この結果は四鉄フェレドキシンに存在するペプチド鎖のアミド水素がフェレドキシンの【Fe_4】【S_4】骨格のイオウと水素結合を形成することを示唆する。 3)窒素固定モデル反応として、鉄-モリブデンコファクターモデル化合物としてのモリブデン-鉄クラスター【[Mo-2Fe-6S-8(sph)-]^9(3-)】を修飾したガラス状炭素電極を用い、水溶液中でエタノールアジドHO【C_2】【H_4】【N_3】を定電位電解することにより、2電子還元生成物の一つである窒素分子をさらに多電子還元することに成功し、修飾クラスター量を基礎にしたアンモニア生成に対するターンオーバ数として1×【10^4】以上の値を得た。
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[Publications] Koji Tanaka;Makoto Moriya;Toshio Tanaka: Inorg.Chem.25. 835-838 (1986)
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[Publications] Koji Tanaka;Mari Masanaga;Toshio Tanaka: J.Am.Chem.Soc.108. 5448-5452 (1986)
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[Publications] Masami Nakamoto;Koji Tanaka;Toshio Tanaka: J.Chem.Soc.,Chem.Comm.1669-1670 (1986)
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[Publications] Susumu Kuwabata;Koji Tanaka;Toshio Tanaka: Inorg.Chem.25. 1691-1697 (1986)
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[Publications] Susumu Kuwabata;Satoshi Uezumi;Koji Tanaka;Toshio Tanaka: J.Chem.Soc.,Chem.Comm.135-136 (1986)
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[Publications] Susumu Kuwabata;Satoshi Uezumi;Koji Tanaka;Toshio Tanaka: Inorg.Chem.25. 3018-3022 (1986)
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[Publications] 田中敏夫,田中晃二: "金属クラスターの化学(【II】-2-4金属-硫黄クラスター)" 学会出版センター, 238(21) (1986)
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[Publications] 田中晃二,田中敏夫: "錯体触媒化学の進歩(【VI】-3含フェレドキシン酵素系とそのモデル)" 化学同人, 270(10) (1986)