1986 Fiscal Year Annual Research Report
過酸化水素に応答する新しい電位応答型多機能酵素センサー
Project/Area Number |
61227021
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
谷口 功 熊本大, 工学部, 助教授 (90112391)
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Keywords | 電位応答 / 微小電極 / 過酸化水素センサ / 酵素センサ / ポリチラミン / グルコース / 電解重合 / 修飾電極 |
Research Abstract |
過酸化水素は酵素反応における主要な生成物の1つであり、この過酸化水素量は従来、電流応答として測定されてきた。本研究では、今後のバイオセンサの小型化,多機能化,インテリジェント化,さらには大量生産による実用化の方向性を考え、FETを用いたデバイス化が可能な新しい電位応答型の酵素センサの開発を目的としている。今年度の研究では、まず(1)過酸化水素量に電位応答する電極系の原理の開発および電極の試作、次いで(2)この過酸化水素電極の各種酵素センサへの応用ならびにセンサ電極の微小化を試みた。 1.電位応答型過酸化水素電極: 一般に電位応答は溶液中の種々の化学種あるいは電極表面反応によって構成され、目的の化学種に対する応答を選択的に得ることが難しい。ここでは、電極表面を電解重合法によって、特にポリチラミン薄膜で覆い、種々の妨害電位の拾い込みを抑制した上で、過酸化水素に対する電位決定種としてフェロセンを電極表面に導入固定化した。この電極は、過酸化水素量の対数に対して直線的な電位応答を示した。 2.上記過酸化水素電極に、特定の酵素を固定化することによって、酵素反応で過酸化水素を生成する酵素についての酵素センサを作製した。すなわち、グルコース,尿酸,コリン,サルコシンおよびアルコールなどについて酸化酵素を用いて、それぞれ選択性に優れた新しい電位応答型酵素センサが得られた。特にグルコースセンサを例として、その特性について詳細な検討を行った。電位応答のメカニズムについても合わせて検討を加えた。 3.センサの微小化の試みの1つとして直径6μmのカーボンファイバーを用いた微小過酸化水素電極の試作に成功した。【10^(-5)】〜1M程度の広い過酸化水素濃度に応答し、20μl程度の酵素溶液を用いて、酵素活性の測定が可能であるとの結果を得た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Isao Taniguchi: J.Electroanal.Chem.(1987)
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[Publications] Isao Taniguchi: J.Electroanal.Chem.(1987)
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[Publications] Isao Taniguchi: J.Electroanal.Chem.(1987)