1986 Fiscal Year Annual Research Report
急速凍結・電子顕微鏡法を用いた細胞内蛋白質分子の挙動の分析
Project/Area Number |
61230004
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
月田 承一郎 臨床医総研, その他, その他 (50155347)
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Keywords | 急速凍結法 / 電子顕微鏡 / 液体ヘリウム / 網膜 / 時間分解能 / 骨格筋 / 興奮収縮連関 / 光受容 |
Research Abstract |
細胞内の蛋白質集合体の構造は極めて動的であり、また動的であることが機能発現に重要であると考えられている。そこで液体ヘリウム温度の純銅ブロックに試料を圧着するという急速凍結法を基礎として、以下の2つの重要な動的な生命現象の基礎メカニズムの解明をめざし、新しい凍結システムの開発を試みた。 1.網膜における光受容過程での細胞骨格の役割。 網膜における光受容過程での細胞骨格の役割を明らかにする目的でイカ網膜に光をあてた後、さまざまなタイミングで急速凍結するシステムを開発した。網膜の電位を測定しつつ急速凍結することには既に成功しており、現在種々の条件下での像を集め、分析を進めつつある。 2.骨格筋の興奮収縮連関の分子機構 骨格筋の収縮は、形質膜の脱分極が横細管に伝わり、何らかの機構によって筋小胞体からのカルシウムイオン遊離が起こることにより引き金がひかれる。この過程を興奮収縮連関と呼ぶが、その詳しい分子機構は不明の点が多い。我々はこの問題を解く手がかりを得るためにカエル生筋を電気刺激し、その後の任意のタイミングで張力を測定しつつ急速凍結するシステムを開発した。このシステムを用いることにより休止筋が興奮して収縮し、再び弛緩するまでの過程をミリ秒レベルのコマ取り写真として電子顕微鏡で追跡することに成功した。その結果、この収縮弛緩の過程で横細管と筋小胞体が極めて大きな形態変化を示すことが明らかとなった。これらの変化は可逆的であり、筋肉の興奮収縮連関の機構を考える上で重要な所見が得られたと考えられる。
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[Publications] Shoichiro Tsukita: Biomedical Research. 7. 53-63 (1986)
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[Publications] Takaaki Kobayashi: Journal of Cell Biology. 102. 1699-1709 (1986)
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[Publications] Shoichiro Tsukita: Journal of Cell Biology. 102. 1710-1725 (1986)
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[Publications] Yasushi Okamura: Brain Research. 383. 146-158 (1986)
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[Publications] Shoichiro Tsukita: Biomedial Research. 7. 1-6 (1986)
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[Publications] 月田早智子: 生体の科学. 37. 460-468 (1986)
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[Publications] 月田承一郎: "電子顕微鏡生物試料作製法" 日本電子顕微鏡学会関東支部, 318 (1986)
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[Publications] 月田承一郎: "血小板1986-血小板の細胞骨格と膜糖蛋白質-" 蔵本淳 他, 184 (1986)