1986 Fiscal Year Annual Research Report
収縮骨格筋の細いフィラメントのシンクロトロンX線回折
Project/Area Number |
61230015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
若林 克三 阪大, 基礎工学部, 助手 (00029521)
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Keywords | 筋収縮 / アクチンフィラメント / シンクロトロン放射光 / イメージングプレート / カエル縫工筋 / 高速X線回折 / 積分型二次元X線検出器 / 等尺収縮 |
Research Abstract |
1.イメージングプレートの高速画像処理システムの開発:新しい型の積分型2次元X線検出器でイメージングプレートに記録された数Mbyteに及ぶデータを効率良く処理するため、大型計算機とマイコンの高解像度グラフィックスを利用した処理系を開発した。この処理系ではS/N向上のためランダムノイズの除去、4象元データの1象元データへの加算縮少を行なう。又、異なるデータの加算,減算等の処理を行なってファイリングし疑似カラーや等高線表示できる。層線反射の強度分布の測定はグラフィック上で組織的に行ない、パターソン関数まで自動的に計算できるようにした。 2.収縮骨格筋の細いフィラメントの強度変化:収縮中、弱い細いフィラメント由来の反射がほとんどすべて強度増大を示し、それらの位置分布は弛緩状態のものに近く、硬直状態とは明らかに異なっていた。これらの強度データからパターソン関数を計算した結果、収縮中ミオシン頭部の結合による寄与の情報は得られなかった。このことは収縮中のアクチン反射の強度変化はミオシン頭部との相互作用によりアクチン分子に構造変化が誘起されることによると考えられる。一方アクチンとミオシンの重複の程度を小さくした筋肉の収縮においてもアクチン反射に強度増大が起こる。これは細いフィラメント内でアクチン分子の構造変化が協同的に起こることを強く示唆している。 3.アクチン反射の時分割測定:アクチン分子と利御蛋白質トロポシオシンの構造因子が強く支配していると思われる反射について強度変化の時分割測定を行なった結果、両者とも同様の変化を示した。 現在、これらの事実に基づいて、アクチン分子に構造変化が起こると仮定して、細いフィラメントの構造解析を進めている。これらの研究で収縮中アクチン分子の構造変化の果す役割の解明に一歩前進した。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 若林克三: パリティ. 1. 80-83 (1986)
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[Publications] Katsuzo Wakabayashi,eds.S.Hosoya et al.: X-Ray Instrumentation for the Photon Factory:Dynamic Analyses of Micro Structures in Matter. 61-74 (1986)
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[Publications] Katszo Wakabayashi: Journal of Muscle Research and Cell Motility. 7. 277-278 (1986)
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[Publications] Haruo Sugi: Biomed.Biochim.Acta. 45. S15-S22 (1986)
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[Publications] 若林克三: 表面科学. 7. 106-116 (1986)
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[Publications] Katsuzo Wakabayashi,ed.T.Yanagida: Actin:Structure and Functions(The Taniguchi Foundation). 56-61 (1986)
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[Publications] Yoshiyuki Amemiya,ed.Bianconi: Biophysics and Synchrotron Radiation. (1987)
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[Publications] Yoshiyuki Amemiya: Science. (1987)
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[Publications] Katsuzo Wakabayashi: Journal of Muscle Research and Cell Motility. (1987)
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[Publications] Katsuzo Wakabayashi,ed.H.Sugi: The Sliding Filament Model and Muscle Contraction. (1987)