1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61231014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹市 雅俊 京大, 理学部, 助教授 (00025454)
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Keywords | 小脳 / 網膜 / 神経組織 / カドヘリン / 器官培養 / グリア / GFAP |
Research Abstract |
神経系におけるシナプス形成のメカニスムを探るためには、神経細胞をつなぎとめる細胞結合分子の本体を明らかにすること必要である。N-カドヘリンは神経系に分布する細胞結合因子で、その発現パターンが発生とともに変化する。この分子の機能を以下のように研究した。 1.14日目ニワトリ胚の小脳細胞を単層培養すると、細胞集合塊と分散する細胞との二群に分かれる。このような培養に、N-カドヘリンに対する坑体を加えると、集合塊における細胞の結合がゆるみこれも分散してしまう。同じ培養をアストログリアのマーカーであるGFAPの抗体で染めると、集合塊の細胞だけが反応することがわかった。このような観察から、分化が進んだ神経系ではグリア系の細胞がとくにN-カドヘリンを発現していることが示唆された。 N-カドヘリンが神経組織の形成に実際どのような役割を果たしているかを探るため神経組織の器官培養を行い、N-カドヘリン抗体の効果を調べた。小脳は器官培養系では生存しにくいことがわかり、他の組織を調べた結果、網膜がこのアッセイには適していることがわかった。ニワトリ5日目胚の網膜は、N-カドヘリン抗体下で培養すると完全に分散してしまう。6日目以後からは抗体に抵抗性を示すようになるが、外見は異常な形態になる。現在、このような抗体処理網膜の組織標本を作成し、その観察の結果から、N-カドヘリンの役割を推察する研究が進行中である。 2.これまでニワトリN-カドヘリンの研究を行ってきたが、遺伝的解析の容易なマウスを用いての研究を可能にするため、ニワトリN-カドヘリンCDNAがマウスDNAとハイブリダイズするかどうかを調べた。その結果、マウスにも同様な遺伝子が存在することが確かめられ、次期にはマウスのN-カドヘリンの解析が可能になった。
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[Publications] Nose,A.: Journal of Cell Biology. 103. 2649-2658 (1986)
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[Publications] Hatta,K: Developmental Biology. 120. 215-227 (1987)
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[Publications] Duband,J-L.: Journal of Cell Biololgy.