1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61231029
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
渡邊 恭良 阪医大, 医学部, 講師 (40144399)
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Keywords | プロスタグランジン / 中枢神経系 / 受容体 / ポジトロンCT / プロスタグランジンエステル / 【^(11)C】標識化合物 |
Research Abstract |
プロスタグランジン(PG)類の脳機能の可塑性に於る役割を解明するため、神経回路切断実験・神経発芽実験・組織培養系を用いた実験を企図したが、脳損傷により脳内PG量が数分間で生理的濃度の数10〜100倍に増加するので可能な限り、無侵襲的評価法を用いて実験を行わなければならない。本年度は、PG受容体の無侵襲的定量的解析のために、ポジトロンエミッショントモグラフィー(PET)による実験を行うための方法論を開発した。PGはこれ迄、【^(11)C】(半減期:20.4分)などのポジトロン核種で標識されたことがなく、まず標識法の検討から行った。【^(14)N】(Ρ,α)【^(11)C】反応により【^(11)C】【O_2】をトラップし、【^(11)C】【H_3】I又はC【H_3】【^(11)C】【H_2】Iに導いた。これらの【^(11)C】-アルキルヨウ素を用いて、種々の条件検討の結果、PG類を【^(11)C】エステル化することに成功した。HPLCで精製し、滅菌フィルターを通し投与可能な試料の放射化学純度は97%以上であり、全操作時間は約40分と実用に耐えるものであった。赤毛ザルをケタミン麻酔し、90分置きにPG【D_2】-【^(11)C】-メチルエステル、及び、コントロールとしてその光学異性体の【^(11)C】-メチルエステルを静脈内投与し、血中での放射活性のクリアランス及び放射活性エステル基の残存度を検索する一方で、脳内への放射活性の取り込みをPETカメラで検出した。PG【D_2】-【^(11)C】-メチルエステルを用いた際と、脳内PG【D_2】結合に不活性な光学異性体の【^(11)C】-メチルエステルを用いた際とを比較すると、血中クリアランス及び側頭筋への取り込みはほぼ等しかったが、投与後5分以内の脳への取り込みには大きな差があることを見出した。又、PG合成阻害剤であるインドメサシンを用いて内在性PGを下げた後、PG【D_2】-【^(11)C】-メチルエステルを投与すると、初期の脳への取り込みが更に増加するので、この取り込みは内在性因子(受容体)との結合を考えさせる。この方法を用いて、脳の可塑性、病態におけるPGの役割を検討する基盤ができた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tokumoto,H.;Watanabe,Y.;Yamashita,A.;Arai,Y.;Hayaishi,O.: Brain Research. 362. 114-121 (1986)
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[Publications] Yumoto,N.;Watanabe,Y.;Watanabe,K.;Watanabe,Y.;Hayaishi,O.: Journal of Neurochemistry. 46. 125-132 (1986)
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[Publications] Yumoto,N.;Hatanaka,M.;Watababe,Y.;Hayaishi,O.: Biochem.Biophys.Res.Commun.135. 282-289 (1986)
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[Publications] Watanabe,Y.;Mori,K.;Imamura,K.;Takagi,S.F.;Hayashi,O.: Brain Research. 378. 216-222 (1986)
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[Publications] Watanabe,Y.;Watanabe,Y.;Haysishi,O.: "Biomedical Imaging" Academic Press, 431 (1986)