1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61300011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂田 祥光 阪大, 産業科学研究所, 助教授 (60029874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 繁 基礎生物学研究所, 助教授 (40108634)
高宮 建一郎 九州大学, 理学部, 助教授 (80037259)
山崎 巖 分子科学研究所, 助教授 (80002111)
垣谷 俊昭 名古屋大学, 理学部, 助教授 (90027350)
山本 雅英 京都大学, 工学部, 助教授 (40025961)
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Keywords | 光合成 / 電子伝達 / チラコイド膜 / 反応中心 / 光エネルギー変換機能 / 光誘起電子移動 / 人工光合成;光捕集 |
Research Abstract |
1.光合成細菌およびチラコイド膜上での光エネルギー変換機構の解明を目ざして、(1)葉緑体における光合成系【II】の分離、精製を行ない、反応中心と結合しているタンパク複合体の単離に成功した。(2)集光の役割を持つフィコビリームの構造と機能の関係の解明に努めた。(3)膜電位の測定により電子伝達成分の膜内配列に関する知見を得た。(4)電子伝達反応を解析し、チトクロームCの存在状態に関する知見を得た。(5)反応中心に含まれるキノン類が生物の種によって異なることを見出し、その原因について考察した。(6)チトクロームb-【C_1】複合体の抽出・精製を行なった。(7)抗原抗体反応を用いて光捕集系部分と反応中心部分との接合部分の情報を得た。(8)光合成初期過程に特有な光誘起電子移動反応を理論的に考慮し、原系と生成系とのエネルギー差、および溶媒の再配向による安定化エネルギーによって反応速度が定まるという理論を提出した。(9)ピコ秒分光法を用いて光誘起電子移動反応のダイナミクスを解析した。(10)光捕集,集光系をピコ秒時間分割けい光スペクトルで解析し、分子集合体の構造と機能に関する知見を得た。(11)ラマンスペクトルを用いて反応中心に含まれるカロチノイドの存在状態とその役割について考察した。(12)光合成細菌の反応中心を含むタンパクの結晶化に成功し、X線解析によりその構造を解明した。などの研究を行なった。一方、これらの成果をふまえて、2.人工光合成系の構築およびシステム化を目ざして、(1)光エネルギー変換機能を持つ分子触媒の最適化の条件を探求した。(2)光誘起電子移動に及ぼす発色団間の相対配置に関する知見を得た。(3)多段階の電子移動過程の役割について検討した。(4)効率のよい光エネルギー伝達系を高分子化合物を用いて実現した。(5)ミセルを用いた多成分系で人工光合成を検討した。(6)高分子中にルテニウム錯体を組み込んで、これを用いて人工光合成系を組みあげた。などの成果をあげた。
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[Publications] K.Matsuura;K.Shimada: Biochimica et Biophysica Acta. 582. 9-18 (1986)
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[Publications] A.Tsuchida;N.Masuda;M.Yamamoto;Y.Nishijima: Macromolecules. 19. 1299-1303 (1986)
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[Publications] Atsuhiro Osuka;Hiroyuki Furuta;Kazuhiro Maruyama: Chemistry Letters. 479-482 (1986)
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[Publications] R.Ramaraj;A.Kira;M.Kaneko: Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.25. 825-827 (1986)
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[Publications] K.Aoki;T.Ideguchi;T.Kakuno;J.Yamashita;T.Horio: Journal of Biochemistry. 100. 875-882 (1986)
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[Publications] K.Akabori;K.Izumi;H.Tukamoto;Y,Toyoshima: Bichim.Biophys.Acta. (1987)
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[Publications] K.Takamiya: Biochimica et Biophysica Acta. 852. 198-202 (1986)
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[Publications] Shigeru Itoh;Xiao-Song Tang;Kimiyuki Satoh: FEBS Letters. 205. 275-281 (1986)
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[Publications] T.Kakitani;N.Mataga: Journal of Physical Chemistry. 90. 993-995 (1986)
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[Publications] Toshihiko Nagamura: Journal of Physical Chemistry. 90. 2247-2251 (1986)
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[Publications] Y.Kanda;H.Sato;T.Okada;N.Mataga: Chem.Phys.Lett.129. 306-309 (1986)
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[Publications] K.Miki;M.Saeda;K.Masaki;N.Kasai;M.Miki;K.Hayashi: J.Mol.Biol.191. 579-580 (1986)
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[Publications] Y.Sakata: "Physical Organic Chemistry" Elsevier Science Publishers, (1987)
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[Publications] Y.Koyama: "Time-Resolved Vibrational Spectroscopy" Gorden-Breach Scientific, (1987)