1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61301021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蓮見 音彦 東大, 教育学部, 教授 (50014684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
似田貝 香門 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (40020490)
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Keywords | 大都市 / 地方自治体 / 産業構造の転換 / 都市経営 / 地方行財政 / 都市形成 / 地域社会学 |
Research Abstract |
本研究は、大都市における都市形成と地方自治体の行財政の分析を通じて、今日の地域政策の特質を把握することをめざし、あわせて、大都市における調査研究を通じて、地方自治体と大都市地域社会の把握のために有効な、社会学的実証研究の手法の開発をこころみようとするものである。この二つの目的の達成のため、研究組織による数次の研究会を行いながら、調査対象地を兵庫県神戸市にさだめて調査研究を実施した。 鉄鋼・造船などの重化学工業に重要な産業上の基礎をおいていた神戸市は、近年、産業構造の転換を積極的にすすめ、新らしい工業団地の造成をすすめて新たな産業の誘致をはかり、また国際観光文化都市へとの転換をすすめている。神戸市の事例は、今日の日本社会が経験している産業構造転換の過程を、行政が積極的に推進した典型的な事例として注目されるものである。この転換過程において、都市における人口や産業の空間的配置にも大きな変化が生じ、また産業の転換にともなって住民の就業構成や生活構造にも少なからぬ変化が生じており、都市再開発施策をはじめ、住民の福祉を追求するさまざまな施策がとりあげられている。神戸市は自治体の行財政の運営においては、今日の行財政改革の動きの中で、多数の外廓団体との間で機能分担をはかるなど、都市経営において他の自治体とはことなった注目すべき試みを数多く示しており、これまでの調査において、その動向や特質を明らかにするべく努力し、多くの知見をえることができた。 明年度には、さらに神戸市における調査研究を継続するが、産業転換にともなう都市形成施策の推進にあたって、神戸市の行財政運営の特質がいかに有効に作用しているかを明らかにすることが、一つの焦点となる。また、これらを通じて、大都市の社会過程とその中での都市自治体の公共政策の役割を分析する研究方法の整備をはかりたい。
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