1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61301022
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北原 淳 神戸大, 文学部, 助教授 (30107916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 勝 神戸大学, 大学院文化学研究科, 助手 (20165343)
合田 濤 神戸大学, 教養部, 助教授 (00106593)
山路 勝彦 関西学院大学, 社会学部, 教授 (30090731)
岩崎 信彦 神戸大学, 文学部, 助教授 (20086052)
長谷川 善計 神戸大学, 文学部, 教授 (50030507)
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Keywords | 沖縄 / 村落社会構造 / 共同体 / 門中 / 親族構造 / 儀礼の形態・過程 / 周辺 / 不安定就業 |
Research Abstract |
本年度は予備調査を行なうこととし、村落社会構造の基礎的事実を多面的に把握することを心がけた。この研究は来年度も継続するので、今年度の調査は中間的段階にあり、まだ最終的に調査を終了していない。 従来の沖縄村落の研究は民族学的研究が多く、そのため村落社会構造は親族組織(とくに門中)と親族・村落の儀礼の構造を中心に把握されることが多かった。この研究では、これに加えて村落社会組織・行政組織,産業構造・就業構造等の検討をも行ない、これによって村落社会を規定する外部全体社会の諸要因を、社会変動をも視野におさめながら、検討することに努めた。本年度は第一段階として、まず、家族・親族制度,村落社会・行政組織,社会関係,儀礼の諸形態・過程,就業構造、の諸点に重点をおいて、基本的な事実を把握することに努めた。 以上のことを通じて以下があきらかになった。1.村落社会は相対的に独自な構造をもちながらも、全体社会の政治,経済,文化の影響を受け、つねに部分社会として再編されてきた。2.村落社会は明治以降地割制に典型的な農業共同体的基礎条件を失い、特定の共同機能を除くと、とくに儀礼の空間と機能を中心とした構造からとらえられる。3.家族・親族構造は父系イデオロギーの浸透により、父系傾斜の傾向があるが、なお双系的特徴をとどめている。4.門中は墓を同じくする儀礼集団であるが、チュチョーデーはリネージ的集団である。5.明治以降の農業発展の過程でも極端な寄生地主制は発展せず、自作農的特徴が維持され、極端な階層分化が生じなかった。6.明治以降今日に至るまで本土の「周辺 としてのモノカルチャー的産業構造と不安定就労の多い就業構造が持続している。
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