1986 Fiscal Year Annual Research Report
行政の公共性に関する法学的研究-行政の組織と作用の改革の論理への法学的接近-
Project/Area Number |
61301060
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
室井 力 名大, 法学部, 教授 (70022415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市橋 克哉 名古屋大学, 法学部, 助教授 (40159843)
福家 俊朗 名古屋大学, 法学部, 教授 (40083315)
浜川 清 法政大学, 法学部, 教授 (80025163)
岡崎 勝彦 島根大学, 法文学部, 教授 (50109245)
原野 翹 岡山大学, 法学部, 教授 (80032704)
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Keywords | 行政改革 / 公共性 / 公の施設 / 行政計画 / 行政指導 |
Research Abstract |
1.本研究は、国家行政組織を中心に組織法的な公共性分析をおこなった「総合研究(A) 国家行政の組織と活動過程に関する法学的研究」の成果をふまえ、この間の一連の「行政改革」をたんなる表面的な「機構改革」として認識するにとどめず、日本国憲法下における実質的法治主義を徹底させる視角から、組織法,作用法および救済法のすべてにわたる行政の規範論理と現実の行政過程の実態(生理と病理)に照らして、行政の公共性の具体的内容を解明し、その実現のための制度や方法を研究するものである。 2.そこで、今年度は、行政法学の領域(各論)ごとに研究分担者を配置し、年4回にわたる合同研究会を中心に相互の研究活動の協働・調製を図りつつ、国と地方公共団体両者において同時に進展している「行政改革」を素材にして公共的行政とその守備範囲の確定、これに適合的な組織,活動方法,および救済制度のあり方を検討した。その際、「行政改革」の推進過程において、民主主義(法治主義),人権,地方自治,参加と公開,財政民主主義といった行政法学上の基礎原理の定着・実質化と変容・形式化が、それぞれの行政領域(警察,福祉等)においてどのようにあらわれているかが検討された。そして、こうした基礎原理の行政領域ごとのあり方をふまえるとともに、民間活力の活用方策として個別具体的には「行政改革」の推進過程で積極的に採用されている民営化,民間委託,規制緩和等の方策が、行政組織や行政作用における行政法学上の基礎概念にいかなる意味内容や機能の新たな充填またはその変容をもたらしているかも、個別具体的な行政領域(土地行政,運輸行政,郵便事業等)において検討された。とくに、この点では、行政組織における「公の施設」概念、行政作用における「行政計画」、「行政指導」概念を今日的状況において前述の基本原理との関連で総合的に研究する必要が確認され検討に着手している。
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[Publications] 原野翹: 法律時報. 58. 37-43 (1986)
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[Publications] 岡崎勝彦: 法律時報. 58. 30-36 (1986)
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[Publications] 晴山一穂: 都市問題. 77. 3-15 (1986)
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[Publications] 原野翹: 都市問題. 77. 42-53 (1986)