1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61302050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
町田 進 東大, 工学部, 教授 (70010692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新村 豊 東京大学, 工学部, 助手 (40010889)
河野 俊一 山口大学, 工学部, 助教授 (40044276)
吉成 仁志 東京大学, 工学部, 助教授 (20167737)
金原 勲 東京大学, 工学部, 教授 (50011101)
板桓 浩 横浜大学, 工学部, 教授 (10017882)
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Keywords | 不安定破壊 / CTOA / 脆性破壊 / 2クライテリア法 / 破壊靭性値 / COD試験 / ひずみ速度 |
Research Abstract |
溶接鋼構造物における不安定破壊発生の実際的プロセスをふまえて構造物を使用期間中、安全に機能させるための合理的設計指針を確立することが本研究の目的であり、本年度は主要な破壊モードに関する基礎的研究として、き裂開口角(Crack Tip Opening Angle ;CTOA)に基づく延性不安定破壊について検討した。通常、鋼構造物は室温以上であれば脆性破壊の危険性が少いが、系の剛性(コンプライアンス)の如何によっては延性き裂であっても、き裂が不安定的に急速に進展する可能性がある。延性き裂がCTOA一定で進展するという仮定下で種々系の剛性を変えた三点曲げ試験を実施し、上記理論が成立つことを確認した。この事から複雑な構造物の場合でも延性不安定破壊の可能性を理論的に推定しうる道が開かれたと言える。次に欠陥をもつ構造物の破壊挙動を把握するため、2クライテリア法の適用を試みた。これは線形破壊力学と非線形破壊力学を結びつけた簡便な弾塑性破壊評価法であり、従来原子炉用鋼等の一部の構造に適用されてきたものである。今回、軟鋼を供試材とする曲げ、引張・曲げ,表面切欠等,種々の荷重様式および切欠形状下で実験を行い、多数の従来データを含めて本解析法の有効性を検討したところ、安全側の推定が得られるものの精度的には不十分であるという結果を得た。さて、鋼構造物の破壊靭性値は温度とひづみ速度に依存する。従来、特殊な構造物を除いて静的靭性値が設計の基準とされてきたが、氷海商船や北海域の海洋構造物等では破壊靭性評価に対しひずみ速度の影響を考慮することが本質的に重要であると考えられる。このため静的から準静的範囲にわたってCOD試験を行い、限界CODに及ぼす温度とひずみ速度の影響を1つのパラメータにより評価することを試みた。さらにこのようにして得られた靭性値を実際の設計に生かす手順についても検討を進めた。
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