1986 Fiscal Year Annual Research Report
環状および直鎖パラフィンの合成と構造,物性に関する基礎研究
Project/Area Number |
61303012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北丸 竜三 京大, 化学研究所, 教授 (40027016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 文敬 京都大学, 化学研究所, 助手 (70124758)
伊藤 泰輔 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (40027769)
高見澤 橄一郎 九州大学, 工学部, 助教授 (10037707)
田中 康之 東京農工大学, 工学部, 教授 (80015114)
片山 健一 京都大学, 化学研究所, 教授 (60027068)
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Keywords | 環状パラフィン / 直鎖パラフィン / ポリエチレン / 結晶構造 / 非晶構造 / 固体高分解能NMR / 電子顕微鏡観察 / 分子運動性 |
Research Abstract |
1.シクロドデセンを出発物質としてW【Cl_6】1EtAl【Cl_2】触媒によるmethasesisにより環状オリゴマーを合成した。GPCにより3量体,4量体,5量体を分取した後、水素添加して環状の【C_(36)】【H_(72)】,【C_(48)】【H_(96)】,【C_(60)】【H_(120)】を得た。FDMS法およびガスクロマトグラフィで決定した純度はいずれも97%以上である。この程度の純度でも当面の研究には十分であるが、より高純度試料を得るための合成法を現在検討中であり、方法が確立すればより高分子量シクロパラフィンの合成も行なう。一方、直鎖パラフィンの合成に関しては、ヘキサコサン酸塩化物(【C_(25)】【H_(51)】COCl)のケテンダイマー反応により得られる26-ドペンタコンタノンをWolff-Kishner還元して純度99%以上のn-【C_(51)】【H_(64)】を得た。現在同様な方法でさらに長鎖のn-アルカンを合成中である。 2.上法で得られた環状パラフィンを溶液から結晶化させ、電子顕微鏡観察によりその結晶構造,モルホロジーを検討した。その結果、(1)得られた結晶は単斜晶系で、ラメラ面はab面であること。(2)NaCl(001)面にエピタキー結晶化させた場合板状結晶のedge-onとflat onが生成するが、結晶化温度の低い場合にflat onが生成しやすいことなどが判明した。今後より分子鎖の長い環状パラフィンについて同様な検討を行うとともに、fold部分の電子線回析を測定し、ポリエチレンの結果と比較検討する。3.環状【C_(48)】【I_(96)】の溶液結晶化物の固体高分解能【^(13)C】NMR測定を-40〜+67℃の温度領域で行ない、分子鎖コンホメーションおよび分子運動性を検討した。その結果、-20℃以下では、結晶内部の【CH_2】およびfold部分の各【CH_2】に相当する共鳴線が明瞭に観測された。しかし、温度の上昇とともにfold部分の共鳴線は【10^2】〜【10^3】Hzの運動の開始によりブロードとなり、さらに40℃以上ではtrans-gauche間の【10^3】Hz以上の遷移が開始するため次第に1本の共鳴線になることなどが判明した。
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