Research Abstract |
本年度は各サブグループによる研究の推進と, 成果の発表討論による研究連絡を行った. 研究連絡会は9月初頭長崎にて開催した. 1).中枢神経接続の検討:昆虫,ヤムシの光感覚, 化学感覚中枢経路での二次, 三次さらに高次の介在ニューロンの形態を蛍光染色法, コバルト染色法で明らかにし, その応答特性を調べた. 形態, 機能両面で特徴ある多数のニューロンが発見され, かつそれらのシナプス接続の生理性質も解明された. これら介在ニューロンは今後同定ニューロンとして用いることにより,中枢での感覚情報処理過程のより厳密な解析が可能である. (渋谷,立田,吉田) 2).中枢運動出力経路の検討:学習,動機づけ等, 行動制御での高次中枢機構を細胞レベルで解明して行くための実験系として, ニクバエの摂食行動,ザリガニの姿勢制御,マスの求愛交尾行動を対象としてそれらの定量解析を行動レベルで行なうと共に, その中枢神経回路を調べた. その結果, 節足動物においても脊椎動物同様に行動の広範な変化性, および合目的性が明らかになった. これは無脊椎動物が, 魚, 両生類とともに高次中枢機能解析の実験モデル系として充分有用であることを示している. また中枢解析の手段として遺伝学的手法の導入が試みられ, ショウジョウバエ突然変異株の摂食行動異常が解析された. (谷村, 白石, 上田, 久田) 3).伝達物質, 神経活性物質:軟体, 節足動物を用いて研究が進められ, オオグソクムシ心臓ではAchとアミン系物質(5HT)が拮抗することが示された. また昆虫骨格筋では, グルタミン酸とオクトパミン,さらにペプチドであるプロクトリンなどの相互作用も調べられた. (桑沢, 竹内, 小林, 山口, 鷲尾) 4).内分泌機能との関連:昆虫前胸腺と中胸神経節の接続, 機能が明らかにされた. (岡島)
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