1988 Fiscal Year Annual Research Report
宿主・寄生虫相互作用に関する免疫学的・分子生物学的研究
Project/Area Number |
61304037
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小島 荘明 千葉大学, 医学部, 教授 (00009622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 直煕 東京慈恵会医科大学, 助教授 (00057019)
仙道 富士郎 山形大学, 医学部, 教授 (80091833)
吉村 堅太郎 秋田大学, 医学部, 教授 (90053058)
菅根 一男 信州大学, 医学部, 教授 (50112488)
田辺 和裄 大阪市立大学, 医学部, 助手 (40047410)
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Keywords | 宿主 / 寄生虫相互作用 / 抗原変異 / 抗原遺伝子 / モノクローナルIgE / 感染防御 / 免疫変調 |
Research Abstract |
宿主・寄生虫相互作用の機序を細胞・分子レベルで明らかにするため、下記の点について解析を行なった。1)宿主内における原虫の適応と抗原変異:熱帯熱マラリア原虫の赤血球内寄生の適応に関して検討したところ、Na^+、K^+レベルに依存することなく増殖するが、寄生赤血球のCa^<2+>代謝を乱した場合には、原虫が容易に死滅することを認めた。また、Trypanosoma cruzi については全形体型に共通する本原虫特異的糖蛋白を見出す一方、T.gambienseについて、in vivoにおいては抗体の作用によって抗原変異の頻度は数倍高まるが、in vitroでは抗体の非存在下でもin vivoの約100倍高まることを見出した。2)寄生中抗原の解析と遺伝子のクローニング:熱帯熱マラリア原虫メロゾイド表面抗原p190の遺伝子について、その全塩基配列を決定した。これを他原虫株の同一遺伝子と比較したところ、p190は7つの変異領域を持つこと、それらはランダムに変異するのではなく2型に分類し得ることが判明した。また、旋毛虫幼虫のmRNAを用いて、分子量48kDaの抗原蛋白遺伝子の97%に相当するcDNAを得た。さらに、抗日本住血吸虫モノクローナルIgE抗体の認識するシストソミュラ膜上の97kDa抗原分子は、アスパラギン結合型糖鎖を有する糖蛋白であることを明らかにした。3)寄生虫感染における免疫応答の変調:糞線虫症患者では、OKT4陽性細胞およびOKIa-1陽性細胞の相対的増加とOKT8陽性細胞の減少が認められ、マイトゲン刺激によるリンパ球増殖活性は有意の低下を示した。一方、住血吸虫感染は、IL-2産生ならびにIL-1、IL-2応答性の低下を来たし、虫卵抗原にはポリクローナルなB細胞活性化因子が存在することが示された。さらに、好酸球には広東住血線虫幼若成虫および第一期幼虫由来の遊走因子に対するレセプターが存在することが示唆され、寄生虫感染はIgEB細胞の数的増加と細胞表面IgEの量的増加を来すことが明らかとなった。
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[Publications] Tanabe,K.,;Mackay,M.,;Goman,M.;Scaife,J.G.: J.Mol.Biol.195. 273-287 (1987)
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[Publications] Kojima,S.,;Niimura,M.;Kanazawa,T.: Journal of Immunology. 139. 2044-2049 (1987)
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[Publications] Yamashita,T.,;Watanabe,T.;Sendo,F.: Immunology. 62. 215-221 (1987)
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[Publications] Watanabe,N.,;Katakura,K.,;Kobayashi,A.,;Okumura,K.;Ovary,Z.: Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 85. 4460-4462 (1988)
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[Publications] Tachibana,H.,;Nagakura,K.;Kaneda,Y.: Parasitol. Res.74. 409-414 (1988)