1986 Fiscal Year Annual Research Report
X線解析のための蛋白質結晶の作成と精密回折データの測定に関する研究
Project/Area Number |
61304062
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 信夫 阪大, 蛋白質研究所, 助教授 (50032024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安岡 則武 姫路工業大学, 工学基礎研究所, 教授 (40029054)
植木 龍夫 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (30029954)
甲斐 泰 大阪大学, 工学部, 助教授 (40029236)
相原 茂夫 京都大学, 食糧科学研究所, 助教授 (20027197)
竹中 章郎 東京工業大学, 理学部, 助手 (80016146)
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Keywords | 蛋白質の結晶化 / X線結晶解析 / 精密回折データの測定 |
Research Abstract |
蛋白質の構造研究は主としてX線結晶解析法によって行なわれているが、本研究ではX線結晶解析に適した結晶の作成とX線回折強度を迅速に精密に測定する方法について研究した。本研究において多くの蛋白質の結晶化が行なわれたが良好な結晶を得るため種々の工夫を行なってきた。例えば、アミラーゼインヒビターの結晶化は純度99%の試料を用いて行なったが溶液の蛋白質濃度が低いときには小さな結晶しか得られなかった。しかし蛋白質濃度を4%に高め硫安によって結晶化を行うことによって結晶解析に適した結晶を得ることができた。また、本蛋白質の結晶化はPHを変化させる方法、PEGを使用する方法、塩析剤として硫安を用いる方法のいづれでも行うことができた。更に本研究ではホウレン草チトクロムC,リポアミドデヒドロゲナーゼ,酸性プロテアーゼ,プロテアーゼインヒビター,カルボキシラーゼ等について結晶化を試み、X線実験を行なった。蛋白質結晶からの精密回折データの測定は四軸型回折計と振動写真法によって行い測定データの質について検討を行なった。アミラーゼインヒビターについて四軸型回折計による測定ではnativeデータを2【A!゜】分解能で測定するのに約3ケ月要し、9個の良質な結晶が必要であった。全データのスケール決定時のR値は4%であった。このデータは【K_2】Hg【I_4】重原子誘導体の差パターソン関数が非常にはっきりした結果を与えることから考えて極めて精度良い強度測定が行なわれたといえる。振動写真法は写真から強度データを得るプログラムを作成した。この方法ではスケール決定のR値が通常8%以上で回折計を使用したとき程良くないが格子定数が200【A!゜】以上ある場合にも実験が行なえ、また対称が高い場合には非常に迅速化できる特長を持っている。更に本研究ではデータ測定の迅速化のため2次元PSPCやイメージングプレート等の将来の測定機器についても検討した。
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[Publications] K.Maeda: Journal of Molecular Biology. 193. (1987)
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[Publications] H.Moriyama: Journal of Molecular Biology. 193. 237-238 (1987)
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[Publications] H.Nakagawa: Journal of Molecular Biology. 191. 577-578 (1986)
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[Publications] Y.Tsunogae: Journal of Biochemistry. 100. 1637-1646 (1986)
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[Publications] T.Ueki: Journal of Biochemistry. 99. 1127-1136 (1986)
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[Publications] 田中信夫: 日本結晶学会誌. 29. 38-43 (1987)