1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61304064
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩永 貞昭 九大, 理学部, 教授 (90029942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長沢 滋治 北海道大学, 薬学部, 助教授 (70029958)
坂本 亘 北海道大学, 歯学部, 助教授 (30001952)
佐々木 實 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (10080003)
中西 重忠 京都大学, 医学部, 教授 (20089105)
鹿取 信 北里大学, 医学部, 教授 (50050365)
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Keywords | カリクレイン / キニン / キニノーゲン / チオールプロテアーゼ / プロテアーゼインヒビター / モノクロナール抗体 / キニンリセプター / ラットΤ-キニノーゲン |
Research Abstract |
中西一喜多村らはラット高分子及び低分子キニノーゲン,さらにΤ-キニノーゲンのDNA塩基配列を明らかにするとともに三種のキニノーゲン遺伝子構造を比較することにより、部分的な遺伝子機能の喪失に関して興味ある知見をえた。岩永らは、キニノーゲンとパパインとの分子複合体の結合モル比を検討し、nativeなキニノーゲンを用いる限り、そのモル比は1:1であることを明らかにした。また、トリキニノーゲンの精製に成功し、30年来不明であったornitho-kininの一次構造を決定した。大石-加藤らはキニン系因子欠損ラットについて、血中キニノーゲンの欠損している原因は遺伝子の欠損ではなく、肝で生合成されたあとの分泌異常にあることを明白にした。また、血中Τ-キニノーゲンにはCOOH末端側にアミノ酸置換のあるvariantの存在することを見いだした。その他、大石-鹿取らはΤ-キニノーゲンのモノクロナール抗体の調製に成功、佐々木らはヒトキニノーゲンによるカルパイン活性の阻害を新しく見い出した。 以上の如く、本研究では過去数年にわたる研究者相互の緊密な連絡のもとに計画されたあと、本年度よりスタートしたので、極めて順調に成果が挙っていると思う。当初計画したラットキニノーゲンの遺伝子発現機構の研究はもとより、キニノーゲンのSH-プロテアーゼインヒビタードメインの同定またΤ-キニノーゲンのモノクロナール抗体の作成とそのエピトープの決定などは、オリジナルな研究成果である。さらにキニノーゲン欠損ラットを用いての解析では、その分泌異常が見かけ上の血中キニノーゲン欠損の原因であることを初めて明らかにした。61年度及ばなかった計画の中に、キニンリセプターの分離とその同定があるが、これはornitho-kininの構造が明らかになったことを端緒に、その合成品をリガンドとした抗体を作成し、62年度に総力をあげて成功させたいと考える。
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[Publications] Sueyoshi,T.: J.Biol.chem(February issue ). 262. (1987)
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[Publications] Muller-Esterl,W.: Trends in Biochemical Sciences. 11. 336-339 (1986)
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[Publications] Ohkubo,H.: J.Biol.Chem.261. 319-323 (1986)
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[Publications] Kotani,H.,: Proc.Natl.Acad.Sci.83. 7074-7078 (1986)
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[Publications] Y.Uchida: Pharmacological Research Communications. 18. 831-846 (1986)
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[Publications] Shigeki Higashiyama: Biochemistry. 25. 1669-1675 (1986)
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[Publications] 岩永貞昭,大橋邦啓,丹羽允,竹田美文,加藤巌編: "細菌毒素研究の最近の進歩" 共立出版(東京), 12 (1986)
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[Publications] 宮田敏行,岩永貞昭,小谷正雄,大井龍夫,次田皓,崎山文夫,岩永貞昭編: "蛋白質・DNAデータバンクと情報解析" 共立出版(東京), 8 (1986)