1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61306014
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
北原 和夫 東京工大, 理学部, 助教授 (20107692)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 信幸 東京大学, 理学部, 助手 (90167445)
住 斉 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (10134206)
塚田 捷 東京大学, 理学部, 助教授 (90011650)
土井 正男 東京都立大学, 理学部, 助教授 (70087104)
川久保 達之 東京工業大学, 理学部, 教授 (10016040)
|
Keywords | 化学反応 / 非平衡 / 統計力学 / 溶媒効果 / 高分子 / 発振現象 / 非断熱過程 |
Research Abstract |
1.反応衝突の過程における非平衡現象として励起状態の動力学、とくに電荷移動過程,原子移行反応などの理論的研究を行い、実験とのよい一致をみた。また、衝突における非断熱過程を扱えるような半古典論の定式化を行った。一つは位相空間での動的特性関数を用いる定式化であり、もう一つは径路積分による定式化である。それぞれ具体的な模型に応用された。 2.非平衡条件下で巨視的体系が示す挙動の研究として、油水昇面で生じる自発的な電位振動現象、膜の周囲の溶液のイオン濃度を変えてゆくときに生じる膜の発振現象、過飽和溶液から析出する際のパターン形成などについて理論および実験的研究を行い、それらのメカニズムを明らかにした。また反応拡散系の振動のモデル解析、非平衡熱力学の原理を流れのある系に拡張する試みも行った。 3.高分子系の運動,分散系の動力学,液晶性高分子の粘禅性についての理論研究,また蛋白質分子の構造の熱的ゆらぎの計算機実験を行った。後者の結果、分子の構造に多重性がありその間を揺らいでいることが判明した。 4.溶媒効果との関連で、水分子の動的揺動が異常に大きいことが計算機実験の解析から判明した。電子移動反応に対して、溶媒と溶質との間の熱平衡の破れが重要な効果を及ぼすことが明らかとなった。また、反応体のまわりの溶媒の配向効果を調べた結果実験との定性的一致を得た。 5.表面における衝突過程について非断熱過程とエネルギー散逸をとり入れた理論の研究を行った。またランダウゼナーの式がバンド交差によってどのように変更されるかを検討した。 これらの研究の成果をもちより2回研究集会をもち、化学反応の理解のためには非線形な揺動と散逸をとり入れた非平衡統計力学的方法が重要であることを確認し、研究を進める事とした。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] T.Kakitani;N.Mataga: J.Chem.Phys.90. 993-995 (1986)
-
[Publications] 垣谷俊昭: 分光研究. 35. 365-384 (1986)
-
[Publications] 深沢直子,垣谷俊昭: 物性研究. 46. 321-331 (1986)
-
[Publications] K.W.Kehr;K.Kitahara: J.Phys.Soc.Japan. 56. 889-892 (1987)
-
[Publications] T.Kobayashi;K.Honma;Okitsugu KaJimoto;S.Tsuchiya: J.Chem.Phys.86. 1111-1117 (1987)
-
[Publications] M.Doi;S.F.Edwards: "The Theory of Polymer Dynamics" Oxford University Press, 391 (1986)