1986 Fiscal Year Annual Research Report
脳特異的蛋白質の特性とその動態の追求-高次神経活動の分子的基盤の解明-
Project/Area Number |
61308014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和田 博 阪大, 医学部, 教授 (30028295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 八郎 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (20029937)
田村 守 北海道大学, 応用電気研究所, 助教授 (80089888)
栗山 欣弥 京都府立医科大学, 教授 (20079734)
出口 武夫 東京都神経科学総合研究所, 部長 (20073059)
奥山 典生 東京都立大学, 理学部, 教授 (00087040)
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Keywords | 脳特異的蛋白質 / 脳蛋白質バンク / 代謝回転 / 中枢神経系 / ニッスル小体 / 脳の可塑性 |
Research Abstract |
本研究の目的は上記の研究課題に示すように、脳活動の分子的基盤を求めて、脳特異的蛋白質の動態を握るための研究チームを如何に組むべきかを検討することにある。このため、本班はわが国の代表的な生化学者であり、ことに脳蛋白質の研究を主体としている研究者と、脳機能を代謝学的な立場から総合的に把握出来るような研究者とから編成した。研究者の共通した認識としては(1)脳の特色は階層構造を有し、局所ごとに異なる不均一な細胞集団を構成しており、(2)脳の各部位では細胞分裂はないが、各部位での代謝は活発で、それぞれ特異的な蛋白質合成を盛んに行っているとの考えを持っている。この考えは本班によりおこなはれた今年度の2回の班会議(昭和61年8月29〜30日、昭和62年1月29日午前)ならびに公開シンポジューム(1月29日午後)において、ますます強化、確認され、次のような方向が重要であるとの結論に達した。 (1)脳蛋白質の番号づけと脳蛋白質バンク開設の可能性;脳の各部位に局在する特異タンパク質について共通の系統的微量分析法を開発すると共にその方法と条件を統一して、脳内蛋白質の分離、同定、保存を行い、研究者間の共通の資料とする。 (2)脳内蛋白質代謝回転の特性の把握;中枢神経系では細胞は分裂しないが盛んに蛋白質合成は行っている。ニッスル小体の多いことはその事実を物語っており、脳の可塑性の発現にも蛋白質合成は重要な因子であると考えられる。現状では未知の蛋白質は少くなくとも3〜30万程ありその検出法同定の確立が急務である。 これらの諸問題をわが国で発展させるためには、より広い基盤に立った生化学と生理的手法のドッキングが必要との結論に達し、その方向に進むべきかを申し合せた。
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