1986 Fiscal Year Annual Research Report
生命科学における分子生物学の将来像に関する調査研究
Project/Area Number |
61308030
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
内田 久雄 帝京大, 医学部, 教授 (40012687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 謙一 大阪大学, 細胞工学センター, 教授 (20037394)
小関 治男 京都大学, 理学部, 教授 (50028106)
岡田 吉美 東京大学, 理学部, 教授 (30011703)
飯野 徹雄 東京大学, 理学部, 教授 (80011667)
山本 正幸 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (40114706)
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Keywords | 分子生物学 / DNA研究 / 細胞 / プロジェクト研究 |
Research Abstract |
本研究班は分子生物学を高い学術水準に保つことが生命科学の諸研究領域の発展に大きな波及効果をもたらすことを考慮し、分子生物学の展開のあるべき姿を研究者の立場から検討するために編成されたものである。従って日本分子生物学会(会長:内田久雄)の評議員および幹事を分担研究者として本研究班は構成されたが、各人は学会の利益代表としてではなく、自由な立場より本研究に参加した。また必要に応じ班員外の専門研究者からも意見を求め、討議を行なった。検討結果はとりまとめて記録として印刷したが、以下の諸点が問題となった。これらについては引続き検討が行なわれ、しかるべく対処されることが期待されている。まず、DNA研究を中心とした分子生物学の將来像として、遺伝子の構造解析を基として、細胞の分子生物学、さらにより高次な生命現象の解析へ、と云う流れが当分続くと考えられる。しかし、わが国では遺伝子構造の解明研究が非常に増加している一方、遺伝子の働らき、調節機構の研究が未だ数少ない。他方、モデル系としての原核生物の研究はむしろ低下していることは問題である。第二に、分子生物学への期待が広がるにつれ、専門分野間のコオーディネイションの未熟が問題となり、これは教育体係の改革を必要とする。第三には分子生物学への社会的期待がプロジェクト研究の推進という形で表現されることには問題がある。しかし乍ら、プロジェクト研究が取上げられたために、一般の研究が圧迫されると考える必要はない、など多くの問題点が指摘された。
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