1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61410004
|
Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
永渕 正昭 東北大学, 教育学部, 教授 (60004107)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 幸 東北大学, 教育学部, 助手 (40004113)
菅井 邦明 東北大学, 教育大部, 助教授 (60000288)
|
Keywords | 脳損傷 / 言語行動 / 言語行動形成 / 音声言語 / 非音声言語 / 失語症 / 聴覚障害 / 言語発達遅滞 |
Research Abstract |
今年度は4年間のまとめをする年あり、これまでの資料を整理すると共に、新たなデ-タを追加した。 1.永渕は、(1)幼児期は正常に発育し、7歳で言語の聴覚的理解のみが障害された女児が抗てんかん薬で回復したが、これを追跡調査して「小児の純粋言語聾」としてまとめた。(2)脳腫瘍でひだり前頭葉を大きく切除しながら、ほとんど言語障害を起こさなかった9歳女児を神経心理学的に検討した。(3)8歳まで日本語、その27年間(35歳)中国語、それから13年間(48歳)日本語を使用した中国残留孤児の失語症例を検討し、2ヶ国語使用者の言語機能について考察した。 2.菅井は、3年間聴覚障害児の音声言語行動の発達を観察した。その結果を、(1)「初期音声言語行動の観察の観点と評価法」、(2)「聴覚障害幼児の音声言語行動の諸相と交信方法」としてまとめた。さらに、(3)聴覚障害児の言語指導の問題点について考察した。 3.坂本は、聴覚障害幼児と健聴幼児の非音声言語行動を観察し、その分析方法と評価方法を検討した。その際の非音声言語行動の質的な評価尺度を構成するため、まず(1)成人聴覚障害者の非音声言語、特に手話に着目して、その表現方法を調べ、それを用いて、(2)一般健聴成人20名および難聴者・中途失聴者8名について学習実験を行い、その形成過程を分析するとともに、(3)学習教材を作成した。これらを「一般成人のための手話入門テキストの作成(1)」および「初心者のための手話入門テキスト」としてまとめた。
|
-
[Publications] 永渕正昭: "Diazepanで改善した小児の純粋語聾." 神経心理学. 3. 98-107 (1987)
-
[Publications] 永渕正昭: "左運動野の損傷で生じた特異な吃症状." 音声言語医学. 30. 328-333 (1989)
-
[Publications] 永渕正昭: "中国残留孤児の失語症." 失語症研究.
-
[Publications] 菅井邦明: "初期音声言語行動の観察の観点と評価法." 東北大学教育学部研究年報. 37. 119-136 (1989)
-
[Publications] 坂本幸: "一般成人のための手話入門テキストの作成" 東北大学教育学部研究年報. 37. 97-118 (1989)