1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61420002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長瀬 文昭 名古屋大学, 理学部, 助教授 (00022690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 譲 名古屋大学, 理学部, 助手 (10135296)
早川 幸男 名古屋大学, 学長 (60022498)
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Keywords | X線反射鏡 / X線望遠鏡 / ポリイミドフィルム / X線散乱 / 表面粗さ |
Research Abstract |
本年度はX線鏡面加工法及び円錐形状精密製作法を中心に研究を進めた. 前者については, X線望遠鏡の素材として昨年度探し当てたポリイミドフィルムの, 表面粗さを改良する方法を研究した. その結果イオンクラスタービーム(ICB)蒸着法が非常に有力である事がわかった. この方法は通常の真空蒸着と異なり, 蒸着原子をクラスター化した上でイオン化し, 電場で加速して基板につける. この為, 平滑で, ち密な面が得られる. 我々はポリイミドフィルムにこの方法で金蒸着を行なった. その表面にX線ビームを当て, 散乱強度から表面粗させ測定したところ, 通常の蒸着法に比べ約半分の粗さ, 表面のrms高とで5が得られ, 全反射率も理論値の90%に達している事が明らかになった. X線の波長領域でこの様な特性を明らかにしたのは本研究が最初で, 現在投稿論文にまとめている. 円錐形状製作法の開発では, 今年度, 5層2段のエンジニアリングモデルを作り, 製作手法を形状評価法の確立を見指した. 円錐成形法としては精密加工した円錐金型に扇型のフィルムを押しつけて接合する方法を用いた. その結果できた円錐形状は, 今年購入した実体顕微鏡を用いた直接測定と, 平行光を当てて得られる結像の解析から評価した. 更に, 円錐鏡の支持・微調機構を備えた望遠鏡本体枠を製作し, 実際に組み上げてみた. これに平行光を当て, 鏡面のミクロなうねり, マクロな形状のゆがみを調べた結果, 全体としては少なくとも3分角の結像性能を有する事がわかった. 現在は, 数10層2段の, より完全なモデルの製作を見指して準備を進めている.
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