1988 Fiscal Year Annual Research Report
重いクオーク崩壊実験に用いる粒子識別装置の開発研究
Project/Area Number |
61420008
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤井 忠男 神戸大学, 理学部, 教授 (50013355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 美貴 神戸大学, 自然科学研究科, 助手 (00183856)
本間 康浩 神戸大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (90107988)
横山 千秋 神戸大学, 理学部, 教務職員 (30093537)
福嶋 裕 神戸大学, 理学部, 助教授 (30030779)
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Keywords | チャーム及びボトム粒子 / 遷輻射検出器 / 電子識別 |
Research Abstract |
今年度は遷移輻射検出器(TRO)の大型化に伴う種々の問題点の解決と実器製作に対するまとめを行った。その要旨は以下の通りである。 1.輻射体からのX線の検出に使用するMWPCのカソードは薄いマイラー膜にアルミ蒸着をしたものを用いている。しかし、これだけではMWPCに流すXeガスと外気との密度差の為にカソード面の平面性が保てない。従ってその補強材として、4cm厚の発泡スチロールを使用した。これに外部より少し加圧する事により、その平面性は±μm以内に保つ事ができた。これはMWPCのガス増幅の変化率に換算すると±0.6%以下となる。また。この4cm厚発泡スチロールによる影響を小型試験器を用いて調べた結果、性能の低下は、1%以下にとどまった。 2.大型器による粒子識別能力の一様性についてのテストをKEKのPSのビームを使って行った。10箇所の異なる位置にビームを照射し、そのデータを基に4台の同型器についてのシミュレーションを行った。結果、照射位置に関係なく電子の検出効率90%に対してπ中間子の混入率を3.5%以下とする事ができた。この結果は小型試験器を上回るものであった。但し、解折にはMaximum Likelihood Methodを用いた。 3.同時に測定されたガス圧と温度のデータより、MWPCのガス増幅度の変動に対する補正を行うと、そのバラツキは2%まで抑えられる事も判明した。 4.MWPCよりの信号読み出しについてはFASTBUSシステムを使用したソフトウェアの開発を行い、96chADCによるデータ取得が可能となった。これにより、多チャンネルの高速データ収集もさして困難はないと思われる。 以上、過去2年間のデータと共に大型実用器構築に対する基礎データのまとめを行った。
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