| Research Abstract |
本年度は研究実施計画書にしたがい次の事を行った.
1.プラズマボロン処理装置により, 基盤金属(主にステンレス鋼, 軟鋼板)上にTiN, TiB_2等の薄膜層を作成した. そして薄膜の膜形成速度, 硬さ, 結晶構造(X線回折法による), 耐摩耗性(摩耗試験機OA式及び軽荷重試験装置を使用), 基盤金属との密着性に及ぼす各種膜形成パラメータ(処理温度, 反応ガス流量, 反応ガスの混合比等)の影響を明らかにした. さらに得られた薄膜コーティング層の機械的性貭(硬さ, 耐摩耗性, 密着性等)の変化を薄膜の結晶構造解折により説明した.
2.ホローカソード式プラズマイオン窒化法によりNi合金, Cu合金, Au合金上に窒化層膜を形成し, その物性を明らかにした. Ni, Cu, Auは窒化物を形成しないが, 特別な元素を合金化し, ホローカソード式プラズマイオン窒化法により処理すると, その表面層に窒化層が形成されることを見い出した. Niに対してはTi, V, Nb, Cr, Cuに対してはTi, Mu, Auに対してはV, Cr, Mn, Feが合金元素として有効であった. X線回折法, EPMA分折法により, 窒化層にはそれぞれの合金元素の著化物の形成が確認された. さらに窒化層の形成によりこれら合金の表面硬さは増加し, その耐摩耗性が著しく改善されることを明らかにした.
3.プラズマボロン処理装置により, ボロン化と窒化の複合化処理に対する基礎実験を行い, 複合化処理が可能であることを確認した. しかし, 複合層の物性特性については今後さらに詳細な検討が必要である.
4.アークプラズマ式スパッタリング装置(SASー1)により, TiN, TiB_2等の基盤金属上へのコーティング処理の基礎実験を行い, コーティング膜形成をX線回折法により確認した. 膜特性に対する今後の詳細な検討が望まれる.
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