1986 Fiscal Year Annual Research Report
短寿命励起三重項状態における磁気的相互作用と電子構造
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61430002
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
樋口 治郎 横国大, 工学部, 教授 (20017875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 幹雄 横浜国立大学, 工学部, 助手 (00107369)
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Keywords | 最低励起三重項状態 / レーザー / 時間分解ESR / スピン副準位 / 項間交差 / 分子軌道法 / ゼロ滋場分離定数 |
Research Abstract |
本研究の主要な実験である時間分解ESRにおいて、光源に主として用いるエキシマーレーザーについては、昭和61年10月中旬科学研究補助金配分内定の通知を受けると直ちに発注し、納入後308nm発振(Xecl)の調整を完了した段階である。 本研究課題に関係した研究としては、(E)-1,2-ビス(2-ピリジル)エチレンの最低励起三重項状態について、窒素レーザーを光源に用いた時間分解ESRの実験を行っている。現段階においては、FF80ms=±1遷移の信号の極性を観測し、最近励起一重項状態から最低励起三重項状態のいずれのスピン副準位にどのような比率で項間交差が起っているか検討した。そのために、マイクロコンピューターにより時間分解ESRスペクトルのシミュレーションを行ない、半定量的にそれぞれのスピン副準位における分布を求めた。また、分子軌道法を用いたゼロ滋場分離定数の計算を行ない、その結果を参考にしてスペクトル線の歸属を行なった。その結果、上記の項間交差によるスピン副準位の選択性については、Ty準位(yは分子面内で中央のC=C二重結合に垂直に近い方向)への遷移が支配的であるという結論が得られている。
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