1988 Fiscal Year Annual Research Report
超長鎖nーパラフィンおよびその誘導体結晶の構造と物性の研究
Project/Area Number |
61430006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
千原 秀昭 大阪大学, 理学部, 教授 (50028073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 定 大阪大学, 理学部, 助手 (00155011)
江口 太郎 大阪大学, 教養部, 助教授 (50107083)
中村 亘男 大阪大学, 理学部, 助教授 (70028166)
勝部 幸輝 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (20032013)
村田 一郎 大阪大学, 理学部, 教授 (90028077)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 交叉分極 / マジック角回転 / スピン・格子緩和時間 / 超長鎖nーアルカン / 折り疊構造 / 分子鎖の運動 |
Research Abstract |
平均分子量が595の長鎖nーアルカン、1214及び2305の超長鎖nーアルカン、nーC_<50>G_<102>、平均分子量2094及び3662のポリエチレングリコールを選び、X線回折、DSC、およびプロトン、^<13>C核の核磁気共鳴吸収の実験研究を行った。 X線回折により、上記のnーアルカン結晶はふつうのポレエチレンとほとんど同じ曲折パターンを与え、したがって斜方晶系の結晶系の結晶中にトランス型配置をとるジグザグ鎖状分子が互いに平行に配列していると推定できる。回折パターンにハローがほとんど出ないこと、反射がシャープであることから、結晶性は非常に高いことがわかった。DSCの実験からは、分子量1214、2305のnーアルカンにおいて、融液から徐冷によって生成させた試料では、融点直下に新しい熱異常が硯れるが、融液を急冷させて得た結晶にはこの異常がでないことがわかった。この熱異常ができる試料の^<13>CーNMRスペクトルには、非常に弱いが折り疊み構造に特有のピークが観測される。したがって、これらの2つの試料では、徐冷によって折り疊構造が実現すると考えられる。^1H核の実験室座標系および双極子場におけるスビン・格子緩和時間T_1、T_<1D>測定からは、非常に遅い分子長軸まわりの全体回転が励起されていることがわかった。 nーC_5H_<102>は、室温で斜方結晶であるが、344Kに相転移がある。^<13>℃スペクトルから分子の折り疊みは観測されない。^<1D>測定により、高温相で分子の自己拡散が励起されていることがわかった。この現象は液晶においてよく見られるが、nーアルカンには珍しい。 ポリエチレングリコールでは、DSCで上のnーアルカンと同様の熱異常が観測されたが、^<13>Cスペクトルは中心線の幅が非常に広く、折り疊み構造を確認できなかった。
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[Publications] Y.N.Chihara;N.Nakamura;H,Chihara: Can.J.Chem.99. 1848-1852 (1988)
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[Publications] Y.Ueda;N.Nakamura;H.Chihara: J.Phys.Soc.Jpn. 57(11). 4063-4064 (1988)
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[Publications] T.Eguchi;M.Kishita;N.Nakamura;H.Chihara: J.Phys.Soc.Jpn. 57(12). 4375-4378 (1988)
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[Publications] H.Nakayama;T.Eguchi;N.Nakamura;H.Chihara;T.Nogami;K.Imamura;Y.Shirota: Bull.Chem.Soc.Jpn. 62(2). 399-402 (1989)
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[Publications] T.Eguchi;N.Nakamura;K.Mano: Z.Naturforsch. 44a. (1989)
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[Publications] A.Inaba;H.Fujii;H.Chihara: J.Chem.Thermodynamics. (1989)
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[Publications] AS.Inaba;H.Chihara: Thermochimica Acta in press.(1989)
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[Publications] T.Ueda;S.Takeda;N.Nakamura;H.Chihara: Bull.Chem.Soc.Jpn.
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[Publications] H.Chihara;N.Nakamura: "Landolt-Boernstein;Numerical Data and Functional Relationships in Science and Technology,New Ser.,Group III,Vol.20c,Nuclear Quadrupole Resonance Spectroscopy Data" Springer,DEU, 1989