1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61440004
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
毛利 秀雄 東京大学, 教養学部, 教授 (70012268)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 誠 東京大学, 教養学部, 助教授 (40143325)
|
Keywords | X精子 / Y精子 / 性選択 / 無担体電気泳動 |
Research Abstract |
本年度は無担体電気泳動装置によって、ヒトのXおよびY精子の分離が恒常的に行われるよう、その為の基礎的条件の設定に多くの時間を費した。その結果どうやら目的を達する域にまで到達したので、今後は分離されたものについての解析を行っていきたいと考えている。 まず泳動用の材料として、成熟した運動良好な精子を選択的に調製するため、Percoll不連続密度勾配遠心法を検討したが、この方法では、X、Y精子の沈殿への回収率が異なり、電気泳動の結果も満足のいくものではなかった。つぎにPercollを用いたswim down法について検討したが、この方法により調製された試料は溶液の比重が高いため、電気泳動に際して乱れを発生し、泳動を制御するのに難点があった。そこで造影剤として用いられるNycodenzに着目し、まずPercollによる上記のような調製を行った後、Nycodenz溶液に置換して比重を調製した。その結果、泳動時の乱流の影響を抑制して分離能が向上し、2峰性をもった泳動像が得られるようになった。なお国外の研究者によりわれわれの結果と+-が逆になる結果が報告されたが、キナクリン染色等によりわれわれの結論の方が正しいことが証明された。現在分離された各画分よりDNAを抽出し、サザンブロット法によりY特異的なプローブを用いて、それぞれの画分が確かにXまたはY染色体を含むものかどうかを検討中である。 これとは別に、両者の細胞表層の差異を調べる目的で、弱く固定した精子を抗原としたモノクロナル抗体をいくつか調製した。蛍光抗体法で調べたところ、精子の特異的な部域を染色するものが得られた。無担体電気泳動法と並んでゼータ電位の測定を行ったが、やはり二峰性の結果が得られている。抗体の中にはこれを一方にだけするものがあるので、今後この抗体物質の同定、XY分離の可能性などを検討する予定である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Odagiri,Hideho: Scientific Papers of the College of Arts and Sciences,the University of Tokyo. 38. 141-154 (1988)
-
[Publications] Oshio,Shigeru: Gamete Research. 20. 159-164 (1988)
-
[Publications] Awano,Minori: Lipids. (1989)
-
[Publications] Oshio,Shigeru: Andrologia. (1989)
-
[Publications] Okuno,Makoto: Cell Motility and the Cytoskeleton. (1989)
-
[Publications] Mohri,Hideo: "Development of Preimplantation Embryos and Their Environment" Alan R.Liss, (1989)
-
[Publications] Oshio,Shigeru: "Human Reproduction Current Status/Future Prospect" Excerpta Medica, 810 (1988)