1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61440009
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
星川 清親 東北大学, 農学部, 教授 (60011871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 貞二 東北大学, 農学部, 助手 (70155844)
後藤 雄佐 東北大学, 農学部, 助手 (80122919)
高橋 清 東北大学, 農学部, 助教授 (00005654)
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Keywords | 分げつ性 / 施肥量 / 節間 / 植物ホルモン / イネ / 剪葉 / 稔実 / 穎果 |
Research Abstract |
水稲の収量形成に関した以下の項目について検討した。1.分げつ性に及ぼす施肥量の影響:ササニシキとアキヒカリの3段階の施肥量区を設定し、個体としての反応の差を比較した。播種後日数に対し、施肥量の順に茎数の増加量が大きくなったが、アキヒカリよりササニシキでの増加量の方が大きかった。また、各施肥区の同周期生長曲線(同伸葉理論通りの生長をしたと仮定して構築した茎数増加曲線)をみると、最後の齢でのみ差が生じていたことから、施肥量は、主茎葉齢の進み方と、個体内での生長のバランスに影響を与えていたことがわかった。2.水稲節間の太さの調節:ササニシキを供試し、生育時期別に各種の処理を行い節間の太さ、扁平率、面積を求めた。環境・栽培要因としては深水、間引き、横転、窒素追肥等の処理、生長調節物質として、ジベレリン、アブシジン酸、ブラシノライド、エチレン、サイトカイニン、オ-キシン、ジベレリン生合成阻害剤処理などであった。その結果、茎の太さは、比較的、環境や処理の影響を受けにくかったが、間引き処理の効果は顕著であった。一方、間引きの効果を体内の植物ホルモンのバランスによって説明する事は困難であった。従って、未知の植物ホルモンの検索や光の茎の基部細胞への直接的作用など、検討すべき課題が残されたといえる。3.イネ穎果の稔実停滞について:ササニシキを供試し、剪葉が稔実過程に及ぼす影響をみた。剪葉による稔実の停滞は、1穂内でも開花の遅い穎果に生じ易く、胚乳形成の初期段階に起こることがわかった。さらに、最適な温度環境を維持した結果、稔実が停滞した穎果のほとんどが最終的には稔実した。一方、デンプンを活発に蓄積している時期の剪葉は稔実に影響を及ぼさなかった。以上より、穎果自身の剪葉に対する感受性が穎果の発達段階で異なること、発熟初期の穎果の稔実停滞は穎果の潜在的稔実能力に余り影響を及ぼさないことが示唆された。
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[Publications] 後藤雄佐: "水稲の分げつ性に関する研究 第5報 茎数増加における品種間差異の解析" 日本作物学会紀事. 58. 520-529 (1989)
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[Publications] 後藤雄佐: "水稲の分げつ性に関する研究 第6報 茎数増加期終期における分げつ性" 日本作物学会紀事. 58. 576-584 (1989)
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[Publications] 高橋清: "浮稲の節間伸長制御機構に関する研究ーー圃場条件下での品種間差異の解析ーー" 日本作物学会紀事. 58(別2). 229-230 (1989)
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[Publications] 高橋清: "浮稲の節間伸長制御機構に関する研究ーージベレリン反応性の品種間差異ーー" 日本作物学会紀事. 58(別2). 231-232 (1989)