1988 Fiscal Year Annual Research Report
低電子線損傷下におけるギャップ結合の電顕細胞化学的研究
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61440024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 和朗 京都大学, 医学部, 教授 (20077556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 眞弘 京都大学, 医学部, 助手 (40183363)
藤本 豊士 京都大学, 医学部, 助教授 (50115929)
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Keywords | ギャップ結合 / 極低温電顕 / Ca^<++>ーATPase活性 / クライオトランスファーホルダー / コネクソン |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、ギャップ結合に存在すると考えられるCa^<++>ーATPaseの活性を、未固定の分離ギャップ結合上に検出し、極低温、低電子線損傷下にて観察することにより、生体に近い状態での本酵素のギャップ結合における活性部位を検索することにある。 ラット心筋よりギャップ結合を分離し、未固定、未染色の状態でホルムバールの支持膜を付着したメッシュに伸展する。緩衝液での短時間の洗浄後、Ca^<++>ーATPaseの活性を細胞化学的に検出する。反応終了後再び緩衝液にて洗浄し、直ちに液体窒素を用いて急速に試料を凍結する。試料温度を-160℃以下に維持しながら、試料をクライオトランスファーホルダーに装着し、電顕(JEOL 2000ES)内に挿入する。電顕観察は試料温度-160℃以下にて行う。対照実験として、同様にCa^<++>ーATPase活性の検出を行ったメッシュ上のギャップ結合を、急速凍結する代わりにロ紙上で乾燥させて、通常電顕にて観察する。さらに、分離ギャップ結合をメッシュに伸展せずに、懸濁液中にて酵素活性を検出し、固定、脱水、包埋などの処理を行い、樹脂切片内でのギャップ結合のCa^<++>ーATPase活性の局在部位を観察する。上記の3方法によって得られたCa^<++>ーATPase活性局在を比較検討した。 極低温電顕観察ではCa^<++>ーATPaseの活性は、コネクソンの周囲とその中心部にほぼ均一に認められるのに対して、乾燥試料の通常電顕観察ではその分布に不均一性が生じ、ギャップ結合の一部には反応産物のさまざまな大きさの集塊が形成されていた。この傾向は樹脂切片の観察ではさらに著しくなり、もはや酵素活性部位はコネクソンの分布様式とは一致しなかった。これらの結果は酵素活性局在部位が試料処理の方法により変化することを示唆し、ギャップ結合における真の酵素活性局在部位の観察に極低温電顕が有効であることを示している。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 酒井眞弘: 解剖学雑誌. 64. (1989)
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[Publications] K.Fujimoto: Journal of Histochemistry and Cytochemistry. 37. 249-256 (1989)
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[Publications] M.Sakai: Acta histochemica et cytochemica. 21. 535-549 (1988)
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[Publications] M.Sakai: Journal of Electron Microscopy. 37. 271 (1988)
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[Publications] S.Kondo: Acta histochemica et cytochemica. 21. 521-533 (1988)
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[Publications] K.Fujimoto: Acta histochemica et cytochemica. 20. 341-342 (1987)
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[Publications] T.Tanaka: "Proceedings of the IVth Asia-Pacific Conference and Workshop on Electron Microscopy" V.Mangclaviraj,W.Banchorndhevakul and P.Ingkaninun, 537-538 (1988)
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[Publications] K.Fujimoto: "Electron Microscopy 1986,vol.III,Biology(I)" T.Imura,S.Maruse and T.Suzuki, 1869-1872 (1986)