1988 Fiscal Year Annual Research Report
赤痢菌の細胞侵入に関わるプラスミド遺伝子の構造と機能
Project/Area Number |
61440035
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 昌之介 東京大学, 医科学研究所, 教授 (80012714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 壮一 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30181621)
笹川 千尋 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (70114494)
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Keywords | 病原性 / ビルレンス / 赤痢菌 / 細胞侵入性 / プラスミド / 組換えDNA実験 / 分子遺伝学 / 転写アクチベータ |
Research Abstract |
近年分子生物学の進歩により病原細菌のビルレンスを支配する遺伝子を分子遺伝学的に解析し、発症の分子機構を素反応のレベルで解析し、その結果を総合的に一連の生化学的反応として理解することが可能になりつつある。本研究は感染症の立場からのみならず、細胞侵入性、すなわち生きた菌が生きた上皮細胞(本来食作用をもたない)に侵入して増殖し、さらに隣接細胞に順次拡散していくという純生物学的にも極めて特異な発症機構を示す赤痢菌をとりあげ、その病理発生機構を分子レベルで理解しようというものである。すでに初年度、第2年度にえられた成果をふまえ、最終年度において本プロジェクトの一応の完結をみることになった。その成果をまとめると次の通りである。細胞侵入性に関与する巨大プラスミドを分子遺伝学的に解析し、SalI・制限酵素地図を作成しその上に少くとも7ケ所のビルレンス関連領域を同定した。SalI断片G上には116KDの蛋白を支配するvirGシストロンが存在し、その産物の所在を決定し、それが二次細胞侵入性に必須であることを見出した。SalI・F断片上には30KDの蛋白を支配するATに富むvirFシストロンが存在し、本プラスミド上に存在する他のビルレンス関連遺伝子の発現を転写レベルでポジチブに制御している。連続したSalI4断片、BーPーHーD上には領域1から5と名づけた10数個のビルレンス関連遺伝子群があって、B端に存在するvirBシストロンは33KDの蛋白を支配し、その転写はvirFによってポジチブに調節されている。さらにvirBのコードする蛋白がipaB、ipaC、ipaDをはじめとし、領域2〜5に存在するビルレンス関連遺伝子群の転写をポジチブに調節していた。他方、染色体上に存在するビルレンス遺伝子の一つ、kcpAもクローン化し、蛋白産物を同定し、その役割を明らかにした。ミニセル法および塩基配列の決定によりこの領域には13KDの蛋白をコードする単一のシストロンkcpAが存在した。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] Sasakawa C.;et al.: J.Bacteriology. 170. 2480-2484 (1988)
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[Publications] Makino S.;et al.: Microbial Pathogenesis. 5. 264-274 (1988)
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[Publications] Sakai T.;et al.: Molec Microbial. 2. 589-597 (1988)
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[Publications] Lett,M.-C.;et al.: J.Bacteriology. 171. (1989)
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[Publications] Yamada,M.;et al: Molec.Microbilo. 3. (1989)
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[Publications] Adler,B.;et al.: Molec.Microbiol. 3. (1989)
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[Publications] Yoshikawa,M.;et al: Microbiol Sciences(IUMS Journal). 5. 333-339 (1988)
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[Publications] 吉川昌之介: 日本細菌学会雑誌. 43. 641-652 (1988)
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[Publications] 吉川昌之介: 日本細菌学会雑誌.
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[Publications] 吉川昌之介: "(分担:赤痢菌の細胞侵入性に関わるプラスミド)感染:病院とその予防ー阿蘇シンポジウム1986ー" 南山堂, (1986)
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[Publications] Yoshikawa,M.;et al.: "Advances in Research on Cholera and Related Diarrheas 6巻" KTK Scientific Publishers(日米医学協力コレラ部会), (1988)
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[Publications] 笹川千尋: "分担:B群赤痢菌のビルレンス因子 遺伝子からみた細菌の病原性" 菜根出版, (1989)
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[Publications] Yoshikawa,M.;et al.: "Advances in Research on Cholera and Related Diarrgeas 8巻" KTK.Scientific Publications(日米医学協力:コレラ部会),