血中異常LDL代謝とアポリポ蛋白Bの遺伝子工学的解析

1988 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 61440050
• Research Institution: Shiga University of Medical Science
• Principal Investigator: 繁田 幸男 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60028321)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 原納 優 国立循環器病センター, 部長 (10028615) ; 小杉 圭右 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (00153544) ; 日高 秀樹 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80156603)
• Keywords: 動脈硬化症 / 糖尿病 / アポBイソ蛋白 / 低βリポ蛋白血症 / 遺伝子解析 / 変性リポ蛋白 / マクロファージ / LDL

Research Abstract

1.疾患時のリポ蛋白異常:糖尿病患者の動脈硬化性疾患のうち末梢血管障害(PVD)に注目、これらの患者のリポ蛋白分析よりPVDを有する患者のリポ蛋白は、超低比重リポ蛋白(VLDL)、中間比重リポ蛋白(IDL)の増加、低比重リポ蛋白(LDL)がトリグリセリドに富むように(TG-rich)変化していることを明らかとした。また、実験的糖尿病サルのリポ蛋白組成の変化もヒト糖尿病に見られるものと同様であること、その代謝的特性もヒトと同様にLDL受容体への親和性が低下していることを見いだした。
2.異常リポ蛋白代謝:マクロファージ細胞株であるJ774細胞を用いてアセチルLDL、β-VLDL等の異常リポ蛋白代謝経路がインスリンにより低下することを見いだし、Scavenger代謝経路がホルモンにより調節されていることを示した。この時、線維芽細胞ではインスリンによりLDL代謝経路は増加し、この受容体と交差するβ-VLDLの代謝も亢進することから、マクロファージにおけるβ-VLD代謝経路の特異性を明らかとした。
3.アポリポ蛋白B亜分画の検討:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いるアポBー48の簡便かつ鋭敏な測定法を確立し、健常者空腹時のみでなく、長期経口摂取のないIVH施行中の患者においてもアポBー48が存在することを示し、腸管の内因性脂質代謝における重要性を示唆する成績を得た。
4.低βリポ蛋白血症:我々の発見した低βリポ蛋白血症ホモ患者において、量的には極めて少ないもののアポBー48、Bー100ともにVLDL分画に存在し、その分子量、さらにLDL、HDLの代謝的特性が健常者と変わりないこと、さらに白血球DNAのSauthern解析では大きな異常を認めないことから合成の調節異常にもとづく可能性を示した。

Research Products

• [Publications] 日高秀樹 他: 動脈硬化. 15. 1647-1651 (1988)
• [Publications] 田村明 他: 動脈硬化. 16. 417-421 (1988)
• [Publications] 日高秀樹 他: 糖尿病動物. 2. 281-285 (1988)
• [Publications] Tamura,A.;et al.: J.Clin.Biochem.Nutr.5. 103-109 (1988)
• [Publications] 原田真理子: 糖尿病. 31. 199-208 (1988)
• [Publications] Harano,Y.;et al.: Metabolism. 38. 1-7 (1989)
• [Publications] Hidaka,H.;et al.: J.Clin.Biochem.Nutr.(1989)
• [Publications] 日高秀樹 他: 糖尿病. 32. (1989)
• [Publications] 日高秀樹 他: 糖尿病動物. 3. (1989)
• [Publications] 日高秀樹 他: 糖尿病性合併症ーMacroangiopathyー. 3. (1989)
• [Publications] 中島譲 他: 動脈硬化.
• [Publications] Hidaka,H.;et al.: Clin.Chim.Acta.