1986 Fiscal Year Annual Research Report
新しい方法を組合せた多能性造血幹細胞の分化増殖機構の総合的考察と臨床的応用
Project/Area Number |
61440055
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
三浦 恭定 自治医大, 医学部, 教授 (60048965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 則夫 自治医科大学, 医学部, 助手 (50186798)
佐藤 裕子 自治医科大学, 医学部, 講師 (10137713)
坂本 忍 自治医科大学, 医学部, 助教授 (70095016)
斉藤 政樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (60012762)
須田 年生 自治医科大学, 医学部, 講師 (60118453)
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Keywords | 造血幹細胞 / 造血因子 / 白血病 / 染色体分析 / 造血細胞コロニー / 無血清培養 / 単細胞培養 |
Research Abstract |
本研究の目的は多能性幹細胞が各種の造血細胞へと分化する機構を、新しく開発された技術により検討することにある。まず造血幹細胞を純粋のpopulationとして濃縮する方法を考案した。マウスでは5fluorouracil注射により分化した造血細胞を除去し、この細胞を培養することにより未分化の芽球のみより成るコロニーを得た。このコロニーを構成する個々の細胞は幹細胞の性質を有する。ヒトでは同様のことを骨髄の4hydroperoxy cyclo phosphamide処理で非常に未分化な幹細胞がよく残存することを見出した。これに造血因子を加え、各因子の作用範囲を決定した。造血因子として分子クローニングによるIL3,G-CSF,GM-CSF,ERYTHROPOIETIN(Ep)等を使用し、また一部無血清培養を行った。EpはIL3の作用しない赤芽球分化の最終段階に働き、G-CSFは多能性幹細胞にも何らかの作用をもつことをみとめた。 幹細胞の癌化、不死化を目的として行った種々の実験のうちからマウス胎児細胞にABELSON白血病ウイルス及びSV40の組替型ウイルスの重複感染により、巨核球の性質をもつ白血病細胞株が出来た。この実験には再現性があり、造血細胞が、一定方向への分化と白血病化を起す過程につき検討中である。マウス白血病NSF60株は各造血因子により各系の細胞に分化できる多能性幹細胞の性質を持つことを見出し、その調節機構を各因子の組合せによって検討した。これらの実験や臨床的に白血病患者から得られた分化した細胞が白血病細胞由来かどうかを判断する為に白血病等の患者骨髄より作った個々のコロニーの染色体と形態の同時分析を行い病的クローンの及んでいる範囲を明らかにし得た。
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[Publications] Y.Ishizaka;K.Motoyoshi;K.Hatake;M.Saito;F.Takaku;Y.Miura: Exp.Hematol.14. 1-8 (1986)
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[Publications] J.Suda;T.Suda;K.Kubota;J.N.Ihle;M.Saito;Y.Miura: Blood. 67. 1002-1006 (1986)
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[Publications] T.Suda;Y.Sato;J.Suda;K.Kubota;M.Saito;Y.Miura: Megakaryocyte Development and Function. 355-359 (1986)
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[Publications] M.Saito;H.Nojiri;Y.Miura: Exp.Hematol.Today-1985. 64-74 (1986)
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[Publications] S.Kajigaya;T.Suda;J.Suda;M.Saito;Y.Miura;M.Iizuka;S.Kobayashi;N.Minato;T.Sudo: J.Exp.Med.164. 1102-1113 (1986)
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[Publications] N.Komatsu;T.Suda;Y.Amemiya;M.Eguchi;K.Kaji;M.Saito;Y.Miura: Br.J.Haematol.M.64. 241-252 (1986)
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[Publications] 三浦恭定: "血液幹細胞培養法" 中外医学社, 185 (1986)