1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61440077
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小椋 秀亮 医科歯科大, 歯学部, 教授 (20013831)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 佳恵 東京医科歯科大学, 歯学部, 技官
春日井 昇平 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (70161049)
大谷 啓一 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (10126211)
|
Keywords | 低カルシウム食 / 歯槽骨吸収 / 血漿カルシウム / 血漿イオン化カルシウム / 血漿アルカリフォスファターゼ / 歯槽骨吸収病態モデル |
Research Abstract |
本年度は研究課題の初年度であり、今後の研究基盤を確立する意味で実験方法の検討を行った。まず本研究の根幹をなす低Ca食飼育による骨吸収の発現を再現性の高いものとするため、従来より知られていた低Ca食の組成と作成方法に改良を加えた。さらにpair fed法を用いて、ラットの成長発育に障害を起さない飼育を行うように改善を加えた。改良飼料,飼育法によりラットを代謝ケージにて飼育して予備的検索を行ったところ、低Ca食を与えた直後より、尿,糞中Ca量は急速に減少しほとんどCaの排泄が見られなくなった。血漿Ca値は低下したが、その程度は少なく、また同時にイオン化Ca値も低下した。血漿アルカリフォスファターゼ値は低Ca食群では増加傾向を示した。組織学的検索を非脱灰研磨切片により行なったところ、歯槽骨に著しい骨吸収像が観察された。特に海綿骨に著しい吸収が見られ、20日間低Ca食にて飼育したラットにおいては、海綿骨はほとんど消失し、切歯,臼歯の歯槽骨壁に一層の骨を残すだけとなった。しかし歯牙には吸収像は観察されず、歯牙が脱落するなどの著しい咬合状態の異常は認められなかった。したがって、歯槽骨の歯牙支持組織としての機能は、減弱している可能性はあるものの、依然として維持されているものと思われる。皮質骨も幅が狭くなるなどの著しい骨吸収像が認められたが、歯槽骨頂の高さや、外形などには著明な変化は観察されなかった。以上のような基礎的検索により、低Ca食飼育ラットの歯槽骨においては脛骨などの他の骨組織とは違う特徴的な骨吸収が引き起こされることが明らかとなった。これは歯槽骨が歯牙の支持組織としての特殊な機能を持っているためであろうと考えられる。本年度の研究の結果、改良された低Ca食餌で飼育したラットにおける歯槽骨の骨吸収発現効果は確実で、且つ再現性も高く、骨吸収のメカニズムを解明するための実験モデルとして有用であることが確認された。
|
Research Products
(1 results)