1986 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達機構の解明に関する生化学的研究-アセチルコリン受容体の構造と機能を中心に
Project/Area Number |
61440085
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
林 恭三 岐薬大, 薬学部, 教授 (00029935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 和俊 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (70182194)
野元 裕 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (80164747)
古川 昭栄 国立精神神経センター, 神経研究所, 室長 (90159129)
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Keywords | ニコチン性アセチルコリン受容体(AChR) / 糖鎖 / ハイマンノース型糖鎖 / コンプレックス型糖鎖 / コリン性ガンド / αブンガロトキシン / シビレエイ / 43k蛋白 |
Research Abstract |
ニコチン性アセチルコリン受容体(AChR)は近年その構造と機能の解明が著しく進展している生体高分子である。われわれは特にシビレエイ電気器官からAChRを調製し、これを用いて構造と機能の相関に関する生化学的研究を行ない以下の新しい知見を得た。1;神経伝達物質の受容体蛋白の糖鎖構造はこれまで全く不明であったがわれわれはAChRの糖鎖構造を世界に先がけて解明することに成功した。すなわちシビレエイのAChRの糖鎖は70%以上がマンノースを8個と9個含むハイマンノース型糖鎖で受容体分子を構成するすべてのサブユニットに含まれていた。各サブユニットに結合している糖鎖の数はそれぞれα,β,γ,δに1,1,2,3と推定され、γとδサブユニットでは上記ハイマンノース型糖鎖の他にコンプレックス型糖鎖も含まれていた。2;コリン性リガンドのAChRとの結合における糖鎖の関与を調べた。その結果αブンガロトキシンとAChRとの結合は高濃度のシアル酸やガングリオシド,卵白アルブミンなどにより阻害された。しかしAChRをシアリダーゼやエンドグリコシダーゼHで処理してもαブンガロトキシンやカルバミルコリンとの結合に変化は見られず糖鎖がリガンドとの結合に直接関与している可能性は小さいことがわかった。3;シビレエイ電気器官中にAChRと類似しているが性質の異なる蛋白が存在していることを見出した。この蛋白はヘビ神経毒やカルバミルコリンとAChRに近いkd値で結合するが界面活性剤を用いなくても緩衝液中に回収されること,中性域で陰イオン交換体に結合しないこと、ConAカラムに吸着しないことなどAChRの性質と異っている。4;AChRの生理機能発現に関与していると考えられている分子量43,000(43k)の蛋白をシビレエイから2種分離した。これらは43k蛋白中の【V_1】および【V_2】と考えられるのでこれらの蛋白の生理機能や分布を詳しく解析するため精製した【V_1】,【V_2】蛋白を抗原としてウサギを用いて抗体を作製中である。
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[Publications] Hiroshi Nomoto;Noriko Takahashi;Yasuhiro Nagaki;Satoshi Endo;Yoji Arata;Kyozo Hayashi: European Journal of Biochemistry. 157. 233-242 (1986)
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[Publications] Saeko Akazawa;Isao Kamo;Yoshiko Furukawa;Shoei Furukawa;Eijiro Satoyoshi;Kyozo Hayashi: Journal of Immunological Methods. 94. 161-167 (1986)
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[Publications] Toshiya Endo;Mamoru Nakanishi;Shoei Furukawa;Francis J.Joubert;Nobuo Tamiya;Kyozo Hayashi: Biochemistry. 25. 395-404 (1986)
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[Publications] Kyozo Hayashi;Toshiya Endo;Mamoru Nakanishi;Shoei Furukawa;Francis J.Joubert;Yasuhiro Nagaki;Hiroshi Nomoto;Nobuo Tamiya: Journal of Toxicology. 5. 95-104 (1986)
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[Publications] 林恭三,野元裕: 神経研究の進歩. 30. 5-19 (1986)
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[Publications] 林恭三,野元裕: Medical Immunology. 11. 426-434 (1986)
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[Publications] 太田光煕,森史よ,太田潔江,西谷裕,林恭三: 神経研究の進歩. 30. 106-118 (1986)
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[Publications] 野元裕,林恭三: 神経精神薬理. 8. 591-600 (1986)
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[Publications] 林恭三,野元裕: 化学. 41. 108-116 (1986)
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[Publications] 野元裕,林恭三: レセプターの化学. 110. 161-177 (1986)
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[Publications] 野元裕,林恭三: 化学と工業. 39. (1987)
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[Publications] 太田光煕,太田潔江,森史よ,板垣真輝江,林恭三,西谷裕: 医学のあゆみ. 139. 529-300 (1986)