1988 Fiscal Year Annual Research Report
新しい腫瘍マーカーの開発と臨床診断への応用ー複合糖質の変化を中心として
Project/Area Number |
61440086
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 純 名古屋大学, 医学部, 教授 (60064789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 隆二郎 名古屋大学, 医学部, 助手 (60179273)
川島 康平 名古屋大学, 医学部, 助手 (70161312)
中島 伸夫 名古屋大学, 医学部, 講師 (80023810)
高阪 彰 名古屋大学, 医学部, 講師 (50022794)
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Keywords | プロテオグリカン / 複合糖質 / 免疫組織化学 / 腫瘍マーカーの開発 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
昨年度ヒト卵巣より発生した卵黄嚢腫瘍(yolk sac tumor)より分離精製したコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CHS-PG)に対して作製した多数のモノクローナル抗体のうち、抗体2Blは免疫組織化学的に原発腫瘍の基底膜および腫瘍細胞によって形成される硝子様顆粒(hyaline globule)が強陽性を示す興味ある抗体であることを確認し得た。そこで抗体2Blの同定を行い、この抗体は、抗原として精製したCHS-PGをコンドロイチナーゼABCにより完全に消化した後に得られる分子量約20万のコア蛋白と特異的に反応することを確認した。この抗体2Blは生体内に普遍的に分布しているsmall PG(分子量約45000のコア蛋白よりなる)familyとは反応せず、胎児性組織由来のlarge PGと特異的に反応することを示すことができた(Histochemical J.印刷中)。 抗体2Blを用い、剖検例、生検例より得た種々の腫瘍組織について免疫組織化学的にこの抗体と反応するlarge PGの局在、分布の詳細を検索した。その結果、癌細胞に伴って増生する固有間質は2Bl抗体とつよく反応することが明らかとなり、癌細胞から何らかの増殖促進因子が分泌され、その刺激によって間葉細胞がlarge PG(2Blと反応する)を合成するとみなすことができる所見を得た。種々の癌組織の中、肝に発生したcholangioma2例について、癌細胞内外に形成された多数の球状物質が抗体2Blと強く反応し、染色強陽性の所見をみとめた。この球状物はエオジンに淡染するにすぎず、2Bl染色、ラミニン染色、フィブロネクチン染色陽性で卵黄嚢腫瘍が特異的に形成するhyaline globuleと同一のものであり、この2例のcholangiomaがyolk sac tumorと類縁のものであることを示すことができた。抗体2Blは卵巣由来はもとより異所性に発生したyolk sac tumorの同定、確定診断に有用であると考えられ、さらに検討を加える。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Fukatsu,T.;Takeuchi,J.;et al.: British Journal of Cancer. 57. 74-78 (1988)
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[Publications] Akao,S.;Takeuchi,J.;et al.: Virchows Archiv B Cell Pathology. 55. 293-298 (1988)
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[Publications] Sobue,M.;Takeuchi,J.;et al.: The Journal of Histochemistry and Cytochemistry. 36(5). 479-485 (1988)
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[Publications] Sobue,M.;Takeuchi,J.;et al.: The Histochemical Journal. (1989)
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[Publications] Sobue,M.;Takeuchi,J.;et al.: Stain Technology. (1989)
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[Publications] Nagasaka,T.;Takeuchi,J.;et al.: Experimental Hematology. (1989)
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[Publications] 竹内純: "現代病理学大系、第2巻B、細胞組織の基本病変II 細胞間物質の基本構造" 中山書店, 226-243 (1988)
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[Publications] 竹内純: "現代病理学大系、第5巻 炎症と感染II 炎症性反応 3炎症性修復 C基質反応" 中山書店, (1989)