1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61440090
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山科 郁男 京大, 薬学部, 教授 (70025675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 一幸 京都大学, 薬学部, 助手 (60154449)
船越 育雄 京都大学, 薬学部, 助手 (10025702)
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Keywords | Lowe症候群 / ヌクレオチドピロホスファターゼ / 先天性代謝異常 / 糖タンパク質 |
Research Abstract |
われわれはすでにLowe症候群の皮膚繊維芽細胞が正常者に比して10倍以上の高いヌクレオチドピロホスファターゼ活性を有することを明らかにしている。その原因を解明することによって本症の原因が明らかにされると考え、以下のような実験を行った。 先ず、ヒト胎盤のヌクレオチドピロホスファターゼを精製し、酵素化学的諸性質を明らかにすると同時に、これに対する抗体を調製して、培養皮膚繊維芽細胞のヌクレオチドピロホスファターゼの解析に用いた。酵素の精製には、粗製標品を抗原として作製した単クローン抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーが極めて有効であった。精製標品は130Kのモノマーより成る糖タンパク質であった。その糖鎖構造の解析のために、他の糖タンパク質を用いて、糖鎖構造解析のためのNMRを用いる超微量分析の諸条件に検討を加えた。 精製酵素およびその変性標品に対する多クローン抗体を作製した。未変性標品に対する抗体を用い、精製胎盤酵素を標準標品として、繊維芽細胞のヌクレオチドピロホスファターゼの酵素タンパク量および比活性を求めた。その結果、Lowe症候群に於ては、比活性を同じくする酵素が多量に存在することが明らかになった。次に、変性酵素に対する抗体を用いて、患者および正常者の培養皮膚繊維芽細胞のヌクレオチドピロホスファターゼのゲル電気泳動上の挙動をウエスタンブロッティング法によって解析し、患者と正常者の酵素に関して電気泳動上差異の無いことを明らかにすることができた。これらの知見から、Lowe症候群に於ては何らかの原因により、多量のヌクレオチドピロホスファターゼが合成されていると結論した。その機作としては、転写、あるいは翻訳レベルでの何らかの変異が考えられる。現在、遺伝子レベルでの解明を進めている。
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[Publications] 矢野敏朗: Journal of Biochemistry. 98. 1097-1107 (1985)
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[Publications] 小堤保則: Journal of Biochemistry. 99. 1253-1265 (1986)
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[Publications] 小堤保則: Journal of Biochemistry. 100. 505-512 (1986)