1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61440090
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山科 郁男 京都大学, 薬学部, 教授 (70025675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 一幸 京都大学, 薬学部, 助手 (60154449)
船越 育雄 京都大学, 薬学部, 助手 (10025702)
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Keywords | ロー症候群 / ヌクレオチドピロホスファターゼ / 先天性代謝異常 / ヌクレオチドピロホスファターゼ遺伝子 / ヒト繊維芽細胞cDNAライブラリー |
Research Abstract |
Lowe症候群に於てはヌクレオチドピロホスファターゼ活性が異常に亢進していること、また、この亢進が酵素タンパク量に比例していることは既に明らかにした。本年度は酵素タンパク量の増大の原因を明らかにするために前年度に引き続き遺伝子レベルでの解析を行ない、本酵素のmRNAの構造を明らかにした。 構造解析に用いたcDNAは患者繊維芽細胞のポリ(A)^+RNAを鋳型とし、オリゴdTをプライマーとして合成したが、全翻訳領域をコードするクローンを得ることができなかった。そこでプライマー伸長法により、さらにmRNAの5′ー末端測に対応するcDNAクローンを得て、合せて3.5KbのcDNAのヌクレオチド配列を決定した。得られた配列は925残基のアミノ酸をコードするオープンリーディングフレームを含んでいたが、これは分子量約10万5千のタンパク質に相当する。この値はヒト胎盤のヌクレオチドピロホスファターゼのポリペプチド鎖部分の分子量とよく一致している。 ヌクレオチド配列の解析から酵素タンパク質の構造上の特徴のいくつかが明らかとなった。先ず、本酵素は膜タンパク質であるにもかかわらず、N末端の先導配列が存在しない。また、膜結合部分はC末端側にはなく、N末端近くに存在していた。この酵素にはNーグリコシド型糖鎖結合可能部位が10ケ所存在するが、いずれも膜結合部よりC末端側に存在していた。従って、本酵素は膜上ではN末端を細胞質側に向け、C末端を細胞の外に向けているものと考えられる。この膜結合部附近のC末端側にはシステインが著しく多く、このタンパク質に存在するシステインの約60%がこの部分に集中していた。このような構造上の特徴が、この酵素の機能とどのような関係があるかは、今後解明していかなければならない重要な問題の一つであると考えられる。
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Research Products
(2 results)