1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61440091
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
二階堂 修 金沢大, 薬学部, 教授 (60019669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 正己 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (20111768)
鈴木 文男 金沢大学, 薬学部, 助教授 (10019672)
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Keywords | DNA損傷 / チミン二量体 / 6-4光産物 / 紫外線 / モノクローナル抗体 / 高速液体クロマトグラフ / DNA複製 |
Research Abstract |
本研究では、放射線、特に特異的DNA損傷を与える柴外線の照射によって、ヒトを含む哺乳類細胞に誘起された各種損傷を定量的に把握し、その消長とDNA複製や細胞がん化などの生物効果との関連性を明らかにすることを目的とした。この意味で、照射紫外線の線量は細胞の生存率を低下させない低線量であること、および低線量の紫外線照射によって細胞DNAに誘発される超微量の損傷を定量し得る高感度検出系の樹立が本研究の遂行には必須であった。そこで本研究では特異的損傷のみを認識するモノクローナル(MC)抗体に着目し、抗体を樹立して本研究に用いることとした。61年度には上記の方針に従って、各種の損傷を認識するMC抗体の作製を行った。その結果、紫外線照射によってDNAに誘起される6-4光産物を認識するMC抗体を得た。その後の研究により本抗体はチミン-シトシン,チミン-シトシン6-4光産物の両者を抗原として認識すること、さらに、両者がDNA鎖中に、あるいは遊離の型で存在する場合にも認識することが明らかになった。現在チミン二量体とチミングリコールを認識するMC抗体2種が得られつつあり、その性格づけを行っている。いっぽう高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いた研究から、紫外線照射された細胞内のチミン二量体は、経時的に二相性の減少傾向を示し、約半数の二量体が長時間にわたって細胞内に残存することが分った。そこで次年度には、この残存二量体がどのようにDNA複製を阻害しているのか、あるいは細胞がん化との関連性について上述のMC抗体を用いて、個々の細胞レベルで追求したい。さらに次年度にはシトシン-シトシン,チミン-シトシンを認識する抗体を樹立し、基礎生物学研究所の大型スペクトログラフを用い、各種波長の紫外線照射による損傷生成と細胞がん化のスペクトルを求める予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 森俊雄: 組織培養. 11. 476-480 (1985)
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[Publications] 渡辺正巳: 病態生理. 4. 833-835 (1985)
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[Publications] 渡辺正巳: 組織培養研究. 4. 17-22 (1985)
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[Publications] 二階堂修: 細胞工学. 4. 89-96 (1985)
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[Publications] 二階堂修: トキシコロジーフォーラム. 8. 668-674 (1985)
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[Publications] 松永司: トキシコロジーフォーラム. 9. 419-427 (1986)