1986 Fiscal Year Annual Research Report
脳障害ミュータントマウスによる神経特異蛋白遺伝子発現機構の解析
Project/Area Number |
61440093
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
御子柴 克彦 阪大, 蛋白質研究所, 教授 (30051840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 栄之 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (60160694)
新延 道夫 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (80135748)
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Keywords | protelipid protein / jimpy mutant / myelin basic protein / myelin |
Research Abstract |
(第1部)ミエリン形成過程における遺伝子発現調節機構を解析するために、まず主要な構成蛋白質であるマウスプロテオリピッド蛋白質(PLP)遺伝子をラットPLP-cDNAをプローブに用いてクローニングした。現在迄に、第1エキソンから第5エキソン迄の部位と構造を明らかにした。転写開始点は、mRNAのプライマー伸長反応とRNaseマッピングによって決定した。転写開始点上流の塩基配列を解析したところ、TATA box,CAAT boxのコンセンサス配列は見つからなかったが、ユニークな11塩基より成る配列が存在した。類似の配列が、やはり主要なミエリン構成蛋白質であるマウスエミリン塩基蛋白質(MBP)遺伝子のプロモーター領域にも存在するので、発現調節におけるその機能が注目される。(第2部)ミエリン形成機構を解析する上で、ミエリン形成不全を示す遺伝性突然変異マウスは、格好の材料となる。そこで、中枢神経系ミエリンに限局して障害を示すjimpyを選んでMBPと比較しつつPLP遺伝子の発現を解析した。まずペプチド性の抗PLP抗体を作製し免疫組織化学的に検討したところjimpyではMBPはモザイク状に検出されるのにたいし、PLPはまったく検出されなかった。一方、RNAレベルにおいては、やはりMBP-mRNA以上に著減していたが、ミエリン形成の盛んな生後21日で対照の1%程度存在していた。ノーザンブロット解析では対照と同じ位置にバンド(3.7k,2.6k)が検出された。サザンブロット解析でも有意差を認めなかった。しかしながら、ブライマー伸長反応及びRNaseマッピングによるmRNAの詳細な解析により、転写開始点及び、第1から第3エキソンまでは正常に用いられていることがわかったが、第4、第5エキソンにおいてjimpyと対照とで差を認めた。特に、第5エキソン部分に対応する部位がmRNAに存在しない事が明らかとなった。即ち、jimpyは、おそらくスプライシング障害を伴った突然変異マウスである事が示唆された。
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[Publications] Shinichi Kohsaka: Brain Research. 372. 137-142 (1986)
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[Publications] Yoshiro Inoue: Developmental Brain Research. 26. 239-247 (1986)
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[Publications] Yoshiaki Takamiya: Brain Research. 383. 305-309 (1986)
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[Publications] Hideyuki Okano: J.Neurochemistry,Raven Press,N.Y.470-477 (1987)
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[Publications] Katsuhiko Mikoshiba: Dev.Brain Reserch. In Press. (1987)
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[Publications] Toshio Terashima: The Journal Comparative Neurology. 252. 264-278 (1986)
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[Publications] Katsuhiko Mikoshiba: "Progress in Developmental Biology,Part B" Harold,C.Slavkin, 4 (1986)
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[Publications] Minoru Kimura: "Molecular Genetics in Developmental Neurobiology" Yasuzo Taukada, 12 (1986)