モヤモヤ病およびその治療に関する研究

1988 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 61440099
• Research Institution: Tokyo Medical and Dental University
• Principal Investigator: 松島 善治 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (20134679)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 鬼頭 清裕 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (30177878) ; 青柳 昌樹 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (60175750) ; 小松 清秀 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (40014104) ; 大野 喜久郎 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (50014238) ; 鈴木 龍太 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (50154604)
• Keywords: モヤモヤ病 / ウイリス動脈輪閉塞症 / 外科的治療法 / EDAS / 脳血管撮影所見 / 血管平滑筋培養 / 文献・患者データ・ベース / 手術効果

Research Abstract

昭和63年度のモヤモヤ病に対する研究成果を要約すると以下のようになる。
1.モヤモヤ病に関する内外の文献のデータ・ベースを作成した。
2.東医歯大付属病院脳神外科及びその関連病院の脳外科に来院したモヤモヤ病患者、総計91症例のデータ・ベースをRB5000を用いて完成した。
3.小児モヤモヤ病の疾患分類はいまだに合理的なものが無い。そこで、脳の乏血の程度とその速度とを加味した新しい分類法を提唱した。
4.EDAS等のモヤモヤ病に対する間接吻合術は、その術式から与えられる印象より早い時点で脳乏血に対する効果を発揮していることを臨床的に示し、これを脳血流検査及び家兎を用いた実験により説明した。
5.術前モヤモヤ病患者の脳血管撮影所見の分析を行い、この結果はNeuroradiologyに掲載された。この論文は更にKey Neurology and Neurosurgery並びにYear Bookに紹介されることとなった。ここで特に主張したのは、従来モヤモヤ病で余り問題とされなかった後大脳動脈系に注目し、この動脈からの軟膜吻合は疾病の比較的初期に最高に達し、以後次第に減少すること。後大脳動脈の50%以上の狭窄は54%、閉塞は26%に認められたこと。また後大脳動脈の閉塞部位はおおきくその遠位部と近位部に分けられ事等である。
6.更に、EDAS小児のモヤモヤ病19例38側に施行された時点での術後の脳血管撮影所見の分析を行い、その結果27側で極めて良好、8側で良好、3側で貧弱、と脳血管撮影上の改善も極めて良好であることを示した。
7.EDAS手術時に浅側頭動脈の細分枝を採取して血管平滑筋細胞の培養を行い、対照培養平滑筋とモヤモヤ病患者の血管平滑筋との間に細胞倍加時間、血小板由来成長因子に対する反応性などの生物学的特徴に相違が在ることを確認した。又この培養細胞系を持っているのは、我々の所だけである。

Research Products

• [Publications] Y.Matsushima: Advances in Surgery for Cerebral Stroke. 137-140 (1988)
• [Publications] R.Suzuki;H.Tabata;Y.Matsushima;Y.Inaba: Acta Radiolog. Suppl 369. 671-674 (1987)
• [Publications] Y.Matsushima: Child's Nerv Syst,the proceedings of the 14th Congress of Japanese pediatric Neurosurgical Society. (1988)
• [Publications] S.Satoh;H.Shibuya;Y.Matsushima;R.Suzuki: Neuroradiology. 30. 111-119 (1988)
• [Publications] O.Tone;Y.Matsushima;Y.Inaba;Sl.Rapoport: In the proceedings of the 7th International Symposium on Brain Edema. (1988)
• [Publications] 松島善治: 手術. 42. 1459-1461 (1988)
• [Publications] 松島善治,鈴木龍太,戸根修,成相直,斉藤淳,新井俊成,若林伸一: 厚生省特定疾患ウイリス動脈輪調査研究班昭和62年度報告書. 104-110 (1988)
• [Publications] 山田一郎,岡田洋一,佐藤史郎,鈴木宗治,松島善治: 臨床放射線. 33. 196-197 (1988)
• [Publications] 高里良男,松島善治,成相直,稲葉穣: 脳卒中. 10. 25-31 (1988)
• [Publications] 松島善治: Clinical Neuroscience. 6. 110-111 (1988)
• [Publications] R.Suzuki;Y.Matsushima;Y.Takada;T.Nariai;S.Wakabayashi;O.Tone: Surgical Neurology. (1988)
• [Publications] 新井俊成,成相直,鬼頭清裕,戸根修,鈴木龍太,松島善治: 第11回脳神経CT研究会、1ー23ー88.
• [Publications] 成相直,大野喜久郎,鈴木龍太,斎藤淳,松島善治,門間誠仁: 第11回日本神経外傷研究会、3ー22ー88.
• [Publications] 鈴木龍太,松島善治,高田義章,成相直,若林伸一,戸根修: 第17回日本神経放射線研究会、2ー19ー88.
• [Publications] 戸根修,正岡博幸,鬼頭清裕,小松清秀,松島善治: 第13回日本脳卒中学会総会、3ー29ー88.
• [Publications] 清田満,武井秀憲,高田義章,松島善治: 第29回日本神経学会総会、5ー25ー88.
• [Publications] 斉藤淳,鈴木龍太,成相直,宍戸恒郎,松島善治: 第29回日本神経学会総会、5ー26ー88.
• [Publications] 小黒範子,宮尾益知,下泉秀夫,小林繁一,桃井真理子,山本佳史,柳沢正義(自治医大・小児科),増沢紀男(自治医大・脳外科),松島善治: 第30回小児神経学会総会、6ー11ー88.
• [Publications] 松島善治: モヤモヤ病の子を持つ親の会 東日本総会、8ー28ー88.
• [Publications] 松島善治: 第7回Mt.Fuji Workshop on CVD,8ー5ー8.
• [Publications] 戸根修,伊藤梅男,富田修一,松島善治: 第47回日本脳神経外科学会総会、10ー20ー88.
• [Publications] 新井俊成,松島善治,大野喜久郎: 第47回日本脳神経外科学会総会、10ー21ー88.
• [Publications] 山口武兼,富田修一,松島善治,市村幸一: 第18回脳波・筋電図学会学術大会、11ー10ー88.
• [Publications] 松島善治: 第3回聖マリアニューロサイエンス、11ー25ー88.
• [Publications] 松島善治: 第6回日本こども病院神経外科医会、11ー26ー88.
• [Publications] 松島善治: "モヤモヤ病の手術(EDAS)Operative Neurosurgery 2." にゅーろん社, (1989)
• [Publications] 松島善治: "脳神経外科疾患の手術とその適応 阿部弘 他モヤモヤ病の手術とその適応" 朝倉書店, (1988)
• [Publications] 松島善治: "小児脳血管障害 斉藤勇 他 小児期のモヤモヤ病に於けるEncephalo-duro-arterio-synangiosisの効果と手術・適応" 小玉株式会社出版部, (1989)
• [Publications] 松島善治: "閉塞性脳血管障害の治療 高倉公朋他 モヤモヤ病の手術Encephalo-duro-arterio-synangiosis(EDAS)" 現代医療社, (1988)
• [Publications] 松島善治: "今日の小児治療指針第8版 塙嘉之他 モヤモヤ病" 医学書院, (1989)