1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61450003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 宏達 北海道大学, 文学部, 教授 (80000537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 泰 札幌大谷短期大学, 教授 (10070111)
細田 典明 北海道大学, 文学部, 助手 (00181503)
今西 順吉 北海道大学, 文学部, 助教授 (70000594)
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Keywords | 浄土思想 / 浄土教 / 無量寿経 / 浄土三部経 / サンスクリット仏典写本 / サンスクリット文献のコンピューター処理 |
Research Abstract |
本年度は、大別して文献研究と思想研究に分けて研究を行った。 1.文献研究ー浄土思想の基本文献である〈無量寿経〉と〈阿弥陀経〉に関する文献学的研究を行った。特に〈無量寿経〉について、研究代表者によって準備されていた34部の現存サンスクリット写本のローマナイズが完成し、そのテキストをコンピューターに入力する作業に重点を置いた。本年度中にその三分の二を終え、次年度に終了する予定である。コンピューター処理による種々な問題点、すなわちサンスクリット語の音写表記、索引作成にともなうサンスクリット固有の語順、異読の多い諸写本の対照表の作成などの諸問題を解消するプログラムがほぼ出来上ったので、サンスクリット文の大量のデータを高速処理することが可能になった。最近コンピューターの導入によるサンスクリット写本の校合が種々試みられているが、まだ本格的な成果が出たとはいえない状況の中で、本研究において確立した基礎的方法論は当該分野に新たな寄与を果たしうると考える。62年度ではサンスクリット写本のローマナイズを再点検しつつ入力作業を終了し、とりあえず本願文の部分を中心に研究成果をまとめることにしたい。 2.思想研究ー〈無量寿経〉〈阿弥陀経〉および『観無量寿経』を中心として展開した浄土教の思想史的研究を行った。まずインドにおける原始浄土思想の諸問題を検討し、それが中央アジア・中国・朝鮮・日本に伝播し受容される過程について検討した。特に浄土教における人間観を取り上げ、人間を凡夫と呼び、その本質を悪人と見る浄土教特有の人間観がどのようにして成立し展開したかという問題を、主として「浄土三部経」を中心として解明した。また中国浄土教の系譜については、中国・日本におけるそれぞれの異なった査定があるが、まず中国人の査定の意図を検討し、多様な形態をもつ中国浄土教の性格を究明した。
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