1986 Fiscal Year Annual Research Report
Social Isolation のメカニズムに関する臨床社会心理学研究
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61450016
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
黒川 正流 広島大, 総合科学部, 教授 (90037036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 武弘 広島大学, 総合科学部, 助教授 (20033706)
堀 忠雄 広島大学, 総合科学部, 助教授 (10020132)
生和 秀敏 広島大学, 総合科学部, 助教授 (90034579)
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Keywords | 集団的孤立 / ストレス量 / ソーシャル・ネットワーク / 恒暗環境 / 脳波スペクトル / 過眠 / 孤独 |
Research Abstract |
1.社会的隔離事態において他者共在がストレス反応に及ぼす影響の検討大学生54名を被験者に、ホワイトノイズを脅威刺激として用い、集団的孤立事態(4条件)におけるストレス量を心拍と主観的不安測度で測定した。その結果、集団的孤立事態においては、自己制御の可能性が増大するほどストレス量が増大することがわかった。一方、個人的孤立事態においては、自己制御の可能性が低いほどストレス量の増大が認められた。このことは、集団的孤立事態においては他者への依存度が著しく増大し、決断や選択決定の主体を他者に委ねようとする傾向が強くなることを示唆する結果といえる。 2.社会的孤立の応用的研究として、在宅一人暮らし老人を対象として社会調査を行ない、老人の孤独感とソーシャル・ネットワークとの関係を明らかにした。母集団は60年7月の広島県老人基本実態調査において「ひとりぐらし」と回答した者8,770人、標本として600人を等間隔抽出して、面接法による調査を実施した。回収率は69.5%その結果、ソーシャル・ネットワークの大きさと孤独感との間には有意な相関がみられ、社会的孤立下における対処手段として、対人関係の網が有効であることが明らかになった。 3.隔離期間の長さと環境照度がストレス反応に及ぼす効果に関する研究志願者の中から男子大学生7名を被験者として、それぞれ1人条件で連続72時間の恒暗閉鎖環境実験を実施した。実験に耐えられず中断した2名を除く5名のポリグラフデータを分析した。主な結果をまとめると、(1)全ての被験者に過眠傾向が認められた。全期間(72時間)の合計睡眠時間は平均41時間(56.9%)に達した。(2)睡眠・覚醒パターンの乱れは第1日目が最も激しく、完全な多相性睡眠を示し、3日目で定型的な単相性が回復した。(3)脳波のスペクトル分析から、開始後30時間ごろに最大ストレス時点があり、これ以降で負荷が軽減されることが示唆された。
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