1986 Fiscal Year Annual Research Report
大学入学・卒業がもたらす人間-環境システムの変化に関する有機体発達論的研究
Project/Area Number |
61450017
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山本 多喜司 広島大, 教育学部, 教授 (30033541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 道久 香川大学, 教育学部, 助手 (10151185)
南 博文 広島大学, 教育学部, 助手
石井 眞治 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (60112158)
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Keywords | 環境移行 / 人間-環境システム / 有機体発達理論 / 微視発生 / 個人的プロジェクト / 対人関係ネットワーク / 時間的展望 |
Research Abstract |
研究1「大学卒業に伴う人間-環境関係の再体制化に関する研究」と研究2「大学入学に伴う人間-環境関係の再体制化に関する予備的研究」の実施が昭和61年9月よりはじめられた。現時点(昭和62年3月)までに実施された研究の概略は以下の通りである。 1)質問紙、面接法の開発・改善:B.Little(1983)のPersonal Project Inventory(個人的プロジェクト質問紙)を訳出し、日本の実情に合致するよう予備的研究をすすめた。対人関係網、時間的展望についても内外の研究・文献を収集・分析し、調査項目、面接項目の設計が行なわれた。 2)予備調査の実施:研究2に関して、大学1年生300名を対象に、個人的プロジェクト質問調査を実施し、日本における大学生が持つ個人的プロジェクトのカテゴリー分類が行われた。時間展望に関して、Wessman(1973)のTemporal Experience Questionnaireを訳出し、大学1年生300名に予備調査を実施し、因子分析を行った。その結果、大学生の時間意識を構成する4つの因子が抽出され、それぞれの因子に基づいた質問項目の選定が行われた。以上の予備研究より、個人的プロジェクトはB.Litte(1983)が提案した以上に複雑な質的構造を有し、さらに、各個人の時間的展望、時間意識と密接な関係を持つことが明らかになった。 3)本調査の実施:研究1に関して、大学卒業予定者50名と大学3年生各50名を対象に卒業前及び進級前の個人的プロジェクト、対人関係網、時間意識の特質をとらえる第1回目の本調査及び面接が実施された。調査・面接結果は現在分析中であり、その成果は昭和62年度の日本心理学会で発表する予定である。 今後は、研究4の昭和62年度新入学生への第1回目の本調査の実施と、研究1、3、4の第2回目以降の本調査の実施を計画している。さらに、個人的プロジェクト、対人関係網の構造とその変容過程を解析するためのネットワーク分析の開発も進められている。
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