1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61450036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 哲也 京大, 教育学部, 教授 (90025114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 勝 龍谷大学, 文学部, 助教授 (40140123)
江原 武一 京都大学, 教育学部, 助教授 (00012568)
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Keywords | 帰国子女教育 / 海外子女教育 / 異文化体験 |
Research Abstract |
10年前に行った「海外・帰国子女の適応に関する調査研究」の対象者655名の追跡調査を行い、確認のできた110名について質問紙による調査を行い、さらにそのうちの60名について面接調査を行った。また統制群として京都市内5大学の学生300名に対して類似の質問紙調査を行った。これらの結果の集計、分析は現在なお進行中であるが、これまでに判明した2点について報告する。1)110名の青年期の「帰国子女」を対象の調査において、主観的評価を統合的・包括的に抽出する軸を設定レクロス分析を行なった。更、に統制群として大学生を対象に比較した。その結果、男女差、海外体験の有意義性、語学力(外国語)、アイデンティティの確立度、滞在期間、日本社会への親和度などの要因の効果が大であった。更に、男女別に異なった要因が作用していることがわかった。特に女性群では、男性群に比べて統制群との違いが大きく現われている。2)帰国後のアイデンティティの型を、(1)滞在国に帰属意識があり日本社会にあまりなじめない「外国型」、(2)滞在国で身につけた文化を捨てていく「削除型」、(3)滞在国と文化と日本の文化の両方を使いわける「両立型」、(4)日本文化に基準のある「日本型」、(5)どのような文化にも親しみがもて実際そこで生活できるとする「普遍型」に分類し、帰国から今日にいたる10数年間にこれらの型がどのような変遷を経たのか、また各々の型の出現を促す要因は何かを調べた。例えば、「帰国子女学級」の中の準拠集団については、「外国型」を長期化させ、「両立型」・「普遍型」への転化を促し、「両立型」・「日本型」・「普遍型」の維持をはかる一方、「帰国子女学級」についても準拠集団のない生徒は、「削除型」を出現させていることなどが判明した。
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