1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61450052
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤本 和貴夫 阪大, 国立大学(その他), 助教授 (70029734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 直人 大阪大学, 文学部, 助手 (20181951)
中村 仁志 大阪大学, 文学部, 助手 (00164327)
江川 温 大阪大学, 教養部, 助教授 (80127191)
国本 哲男 大阪大学, 言語文化部, 教授 (10029580)
岡部 健彦 大阪大学, 文学部, 教授 (80027945)
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Keywords | 民族意識 / ロシア革命 / ドイツ統一 / 言語政策 |
Research Abstract |
本年度は、東西ヨーロッパにおける国家と民族意識にかんする問題の全体的把握につとめるため、以下の研究会を開催し、その報告、討論を中心に問題点の提示、整理をおこなった。 (A)「ロシア革命における民族意識と国家権力」(報告者-藤本和貴夫)では、研究全体にかんする見通し、展望が述べられ、それに続いて、個別テーマごとの堀り下げの第一歩として、ロシア革命期における非ロシア少数民族の自決要求、遠心分離的傾向とソヴエト政権の対立が論ぜられた。報告後、他の研究分担者より、国家形成に対して民族意識がいかなる影響を与えるかという点を中心に、東欧、西欧のそれぞれがもつ共通点と相違点などについて活発な討論が展開され、共同研究としてのフレーム,ワークづくりに大いに寄与した。 (B)「ドイツの統一と民族意識」(報告者-岡部健彦)では、ドイツ統一国家形成にあたって主要な役割をはたしたプロイセンとオーストリアの統一運動に対する対応が、それぞれの民族構成の差異を視野におさめつつ論ぜられた。報告およびその後の討論を通じて、統一問題についてのプロイセン、とりわけ首相ビスマルクの態度は、通説的に理解されているように、小ドイツ主義を性急に貫こうとするものではなかった点が明らかにされた。 (C)「フランス国家形成期における民族意識」(報告者-江川温)は、ロマンス語の一派としてのフランス語分化・成立が、フランス国家の形成といかなるかかわりをもっていたかを詳細に検討したものであり、民族意識の形成と言語のかかわりの重要性があらためて指摘された。報告後、ドイツ,ロシア,東欧についての同様の問題の比較対照の試みがなされた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 岡部健彦: 待兼山論叢. 20. 1-20 (1986)
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[Publications] 藤本和貴夫: "ソヴエト国家形成期の研究1917〜1921" ミネルヴァ書房, 304 (1987)