1986 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア古代の鉄の技術移転・製品移動に関する考古学的研究
Project/Area Number |
61450054
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川越 哲志 広島大, 文学部, 助教授 (20033491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 次史 広島大学, 文学部, 助手 (20144800)
中越 利夫 広島大学, 文学部, 助手 (80144799)
古瀬 清秀 広島大学, 文学部, 助手 (70136018)
河瀬 正利 広島大学, 文学部, 講師 (30093743)
潮見 浩 広島大学, 文学部, 教授 (30033476)
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Keywords | 東アジア / 古代の鉄 / 鉄の技術移転 / 鉄製品の移動 / 鉄文化の伝幡 / 鉄素材 |
Research Abstract |
本研究を推進するための基礎的作業として東アジア古代の鉄資料の収集を実施した。 (1)これは中国の殷周時代〜魏晋時代、朝鮮は先史時代〜三国時代、日本は弥生時代〜平安時代にいたる各時代の鉄製品、鉄素材、半製品、鋳型、製鉄・鍛治遺跡を調査報告書、学術雑誌等の文献から遺跡ごとに鉄資料をピックアップして新たに作製した鉄器資料カード(バンクカード)に実測図を含めて収録するもので、本年度は広島大学所蔵の文献を中心にした。このうち、中国についてはほぼ50%、朝鮮については80%を調査し、日本では弥生時代80%、奈良・平安時代は約50%を調査した。古噴時代の資料は厖大な数に上り、単年度では完全収集が不可能であり、これについては新たに収集の方法・期間を検討することにして古噴時代の特異な遺物、鉄せんと鉄素材、鋳造鉄器に限定した。 (2)日本出土鉄製品の調査は、弥生時代の鉄製品、鉄素材、末製品、古噴時代の鉄せん・半製品資料を各研究機関で肉眼観察、実測によって製作技法を検討した。この結果、弥生時代の鉄素材は一定の形態をもつグループがあり、日本独自の鉄素材である可能性がでてきた。古噴時代の鉄せんについては小型品を6〜9枚鍛接して製作されたものであること、小型品は棒状品を鍛打によってうすく板状にのばしたものであることを推測できた。また、新たに従来の鉄〓の概念をこえる超大型の鉄板も日本独自の鉄素材としてあきらかになった。(3)製品移動については鋳造鉄器(農工具)が弥生時代の早い時期から、中国東北部の各時代の製品が継続的に古噴時代にいたるまで輸入され、その一部は製作地の限定ができるものがある。朝鮮製の輸入品は梯形鋳造斧以外は明確でない。 (4)技術移転については、各種の鉄および鉄器を組織的生産する中国古代の技術大系のうち、その末端の最も簡易な製錬、鍛治技術のみを受け入れ、これを古噴時代にいたって展開させたところに古代日本の鉄文化の特色がある。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 川越哲志,潮見浩,河瀬正利,古瀬清秀,中越利夫,藤野次史: 広島大学文学部紀要 特韓号. 47. (1988)